2014年はグローバルなスタートアップコミュニティにとって、素晴らしい成功の年だった。ベンチャーキャピタルの投資は潤沢で、M&A市場はにぎわい、多くの企業で企業価値が10億ドルに達し、あるいは前年よりも企業価値が飛躍的に伸びた。
あまりにもスタートアップをとりまく環境が繁栄したため、楽観的な起業家や投資家でさえ我に返る恐ろしい言葉、「バブル」というキーワードをささやき始める人も出始めたほどだ。もちろんこれを軽く考えることはできないが、2014年が成長の年になった要因についても考えてみる必要がある。
スタートアップの立ち上げに対する期待は変わった。この記事では、2014年にスタートアップが学んだ教訓と、それを2015年にどう当てはめるべきかについて書いていこう。
これまで、一般的なキャリア形成のルートは、大学に行き、大学院にも行き、自分の会社を起業することを夢見る前に、数年間は企業で勤めるというものだった。起業家精神がこれを変え、2014年にはそれが非常に鮮明になった。
SoftBank CapitalのゼネラルパートナーであるJordan Levy氏によれば、そういった標準的なルートを経験していない創業者の数は大きく増えているという。この変化は、資金を求めるスタートアップがさらに増えているということも意味している。
「企業を立ち上げようとしている人の数については、どのくらいかわからないほどだ」とLevy氏は言う。「それらの企業は、多くの場合、非常に刺激的なアイデアを持った、極めて優秀な人たちの集まりだ。彼らすべてが資金を得ることは到底できないだろう」(Levy氏)
2014年には、ベンチャーキャピタル(VC)の投資金額も増えている。実際、PricewaterhouseCoopersとNational Venture Capital Associationが第1四半期についてまとめたMoneyTreeレポートによれば、その金額はドットコムバブル崩壊以降初めて、当時に匹敵するものになった。
創業資金は全員に行き渡らないかもしれないが、増えた投資は一部のより大きな企業に対する重要な追加投資には回された。このことと、健全なM&A市場と企業買収が相まって、企業価値は飛躍的に高まった。
IDG VenturesのマネージングディレクターであるAlex Rosen氏は、現在は高企業価値環境にあることは間違いないが、これは一般に起業家にとってもよい傾向だと述べている。また、もしVCの資金を得ることができなくても、別の手段がある。
「従来の資金獲得方法に加え、AngelList、マイクロVCファーム、われわれのようなブティック型投資銀行、ヘッジファンドからの後期ステージ向け資金調達、投資信託会社、あるいは、世界中の政府系投資ファンドなど、資金調達先は数多くある」とRosen氏は言う。
Rosen氏によれば、起業家が変化しつつある投資環境を切り抜けるためには、同氏が言うところの「リアル」な財務諸表が必要だ。企業価値にも意味はあるが、一部の企業にとってはあまり意味のない尺度だという。
資金が増え、資金調達先も増えたことで、資金調達プロセスも分かりにくくなった。
「ラウンドがどういう意味を持つかということも、明確ではなくなってきた」とLevy氏は言う。「もはやどのラウンドかということは考えるべきではない。いくらの資金が必要だということだけ考えて、あとはすべて忘れるべきだ。BラウンドやCラウンドが何を意味するかは明確ではなく、創業初期に何がどういう意味を持つかは非常に分かりにくくなっている」(Levy氏)
2014年にはエンタープライズ市場向けスタートアップが舞台の中央に戻ってきたが、2014年のスタートアップの成長の多くは、オンデマンドマーケットプレースの台頭によって形作られたものだ。たとえば、Uberは旅客輸送マーケットプレースであり、Airbnbは宿泊先マーケットプレースだと言える。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」