2014年4月に開校した、プログラミング(コード)を必修科目に定めた「コードアカデミー高等学校」(長野県上田市)の初年度報告会が2月5日に開かれた。
同校は大半の科目をオンラインで学習する広域通信制・単位制課程普通高校。卒業に必要な74単位のうち50単位程度を国語や数学など高等学校の必修科目とし、残りの20単位程度をプログラミング教育に振り分けている。同校を運営する学校法人信学会と、同法人が資本提携しているキャスタリアがカリキュラムなどを設計した。
同校では教育のために「Google Apps for Education」を活用したクラウドベースのシステムを構築。生徒は基本的に自主学習となるが、コード教科では毎週2回、現役エンジニアによるクラウド上での講義「メンターアワー」を実施している。また年2回、スクーリング(対面授業)で、通常学習の補足や体育など授業などを行う。1回目は2014年7月に実施したという。
信学会で同校立ち上げの責任者を務めた栗林聖樹氏は「通信制高校を作りたくて作ったわけではなく、今の時代に合った環境を整えた結果、今の形になった。デジタルやテクノロジを使った学習の先に何が見えるのか、それを研究していきたい」と語った。
同校副校長で、キャスタリア取締役、ITジャーナリストの松村太郎氏はある1人の生徒の例を挙げ、「入学後にインターンを始めたり、ハッカソンで優勝したりと、まるで別人のようにエネルギッシュに今を生きている。その成長が本当に嬉しい」と話す。また一方で「“学校”という場でこんなに人は変われるのかと驚かされた。学校だからこそできることを、より深く考えるきっかけになった」と思いを語った。
初年度を通して考えていた課題として松村氏が挙げたのは、コード科目の単位数が約20単位と少ないこと。あと2年が経ち初めての卒業生を出すまでに、「すべての単位(教科)をテクノロジで学べる仕組み」を作れないかと考えているという。
たとえば、数学の微分積分をプログラムで可視化したり、美術は「Instagram(インスタグラム)」、地理と体育は「Ingress(イングレス)」を活用したりなど。松村氏は「学校」という制度上の問題も認識した上で、「まだ誰も試していないが、カリキュラムとして作り込むことは可能なのではないか」と前向きだ。
2015年4月入学生の応募受付は2月21日から。転入学は随時受け付けている。学費は入学金が10万円、授業料が1単位あたり1万円で、教育充実費として毎年5万円がかかる。なお、入学時点でのプログラミング技術は不問とのことだ。
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