ドコモはもう一度変わらなければならない--「ドコモ・イノベーションビレッジ」刷新の狙い - (page 2)

 開発するサービスの内容によって、そこはケースバイケースになるのではないかと思います。確かに、ドコモの新サービスとして世の中に送り出すというのは、多くのユーザーが集まってスケールするという大きなメリットがあります。一方で、求められるセキュリティの堅牢性の高さやさまざまなデータベースを活用していく上での開発プロセスの多さなど、多くの時間とコストを必要とします。また、スケールよりも一刻も早く市場に参入することが重要だと考えれば、(ドコモのサービス開発プロセスと比較して)圧倒的に少ないコストと短い時間でサービスを世に送り出すことができるという利点を生かして、ドコモが支援してベンチャー企業側からサービスをリリースするという場合もあります。

グローバル展開に挑戦する若い起業家・開発者を応援していきたい

――Villageシード・アクセラレーションは今回4期目を迎えますが、過去の3期でどのような手ごたえを感じているでしょうか。また、第4期にはどのようなことを期待したいでしょうか。

 過去の3期に参画したベンチャー企業からは、とても大きなエネルギーをもらったし、ドコモとしても良い経験になったのではないかと思います。アプリケーションは面白く、エンタメ系のサービスがもっと来るのかと思いきや、教育やヘルスケアなどかなり生活に密着したジャンルが集まり、結果的にドコモが目指している方向性とも一致したのではないでしょうか。学生ベンチャーの参加も増えて心強かったですし、一方でミドル層が一念発起して起業したというケースがみられたのも印象的でした。夢を持ち、自分の人生を賭けて挑戦してくださる彼らの姿勢に、私たちも生半可な気持ちで応えてはいけないな、と改めて身が引き締まる思いです。

 一方、海外に挑戦するベンチャー企業を生み出したいという点では、残念ながらまだ参画企業にそういったモチベーションが強くないという部分が課題としてあります。「まず日本で成功したい」というのは現実的ではあるものの、サービス開発段階から世界への挑戦を視野に入れようという雰囲気は、あまり感じられないというのが私の印象としてはあります。


――こういったプログラムに対して、ドコモのR&D部門はどのような期待をしているのでしょう。

 基礎技術の研究開発分野では、まだまだベンチャー企業との協業を積極的にしていかなければならないという課題を感じていますが、一方、研究所で生み出した新しい技術を新規サービスとしてシーズアウトしたいというモチベーションは非常に強いのが現状です。かつては、新しい技術(シーズ)を開発しても、ドコモの開発プロセス、事業化プロセスの中でせっかくのシーズが腐ってしまうということもあったのですが、ドコモ・イノベーションビレッジの取り組みを通じて、ベンチャー企業と一緒にシーズを発芽させようという動きは増えてきているのではないかと思います。これを絶やさず、芽吹いたシーズに花を咲かせなければなりません。

――最後に、これからドコモ・イノベーションビレッジに参加したいというベンチャー企業に期待したいことは。

 スマホの時代になって、サービスはアジャイル化し、ライフルサイクルは短くなり、グローバル化が急速に進んでいます。ライフスタイル分野では欧米がどんどん新しいサービスを開発していて、IoT分野では世界同時進行的に新しいサービスの開発が拡がっている。日本全体も負けていられないし、日本の若い開発者や起業家がどんどん世界に挑戦して活躍していかなければなりません。それをドコモが応援することは、ドコモの将来にとっても、とても重要なことだと感じています。

 ドコモ・イノベーションビレッジに参加するベンチャー企業には、ぜひドコモのさまざまなアセットを使い倒して欲しいと思っています。ドコモと一緒に新しいイノベーションを生み出して、多くのベンチャー企業に成長してほしい。そしてドコモも、ベンチャー企業から多くのパワーをもらいながら、共に成長していきたいと考えています。

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