コンセプトは単純で、日常的なサービスの顧客体験を、テクノロジと普及したモバイルデバイスを利用して改善するというものだ。Draper Fisher Jurvetsonのパートナーの1人であるAndreas Stavropoulos氏のところには、このアイデアがうまく行き始めてすぐに、次の「X向けのUber」、「X向けのAirbnb」といった売り込みが殺到した。残念だが、こういった伝統的な市場の破壊は、一般に考えられているよりも難しいという。
「それらの企業はロジスティクス、運営、そしてときには規制の複雑さを克服する必要があるが、これには起業チームがテクノロジ的にいかに優れているかはあまり関係がなく、むしろビジネスモデルの細部を正しく理解できるかが重要になる」とStavropoulos氏は言う。
これらのマーケットプレース型スタートアップに伴うリスクを下げるため、同氏のチームは非効率性が内在している巨大市場を探し、細部まで目を配れるチームと注意深く組み合わせるようにしているという。
UberとAirbnbのどちらのケースでも、人気を集めるのにシェアリングエコノミー(共有経済)が大きな役割を果たしたが、これらのオンデマンドマーケットプレース(および多くのその他のスタートアップ)が急成長した要因には、API経済の台頭もある。
AccelのパートナーであるRich Wong氏によれば、これはときにAPXとも呼ばれる。
「スタートアップが劇的な速さで最終製品を手に入れることが可能なのは、利用可能なあらかじめ完成した要素が、数多くあるからだ」とWong氏は言う。
たとえば、Wong氏によれば、Uberは地図に「Googleマップ」を、決済の処理に「Braintree」を利用した。それに加え、UberやLyftのような企業は、信用調査に「Checkr」のサービスを利用できた。これまでは、こういったものをすべて自前で作らなくてはならなかったが、今ではAPI経済を通じてこれらのサービスを購入したり、レンタルすることができ、イノベーションを加速できるようになった。
「競争の激しさ、そしてスタートアップに必要とされる対応の早さは、以前よりもはるかに増している」とWong氏は話す。
一部のより賢明な企業は、API経済を活用してより速いペースで前に進んでおり、ほかの企業もそれに追いつくことを強いられている。
SaaSモデルが始まって以来、このモデルに参入するスタートアップの数は増え続けているが、2014年も例外ではない。
「SaaS市場には明らかに大きな動きが起きている」とLevy氏は言う。「多くの企業がSaaS企業となりつつあり、これが何か別のことの発端になっている可能性がある」(Levy氏)
Rosen氏によれば、SaaSの成長はSaaS製品市場の強い需要によってけん引されている。この需要は、技術スタックがウェブサービスとクラウドインフラを活用できるように適応を続けていることから生まれていると同氏は言う。
新しいSaaS企業が立ち上がるのに加え、既存のプロバイダも新たな製品をリリースしてけん引力を強化し続けている。SaaS製品の初期の構築にかかるリソースは、一般にほかのタイプのスタートアップよりも少ないが、問題は規模の拡大と製品のサポートだという。
「製品が勝手に売れることはないし、顧客はサポートを必要とし、機能を進化させていく必要もある。拡大していくインフラを管理し、しかもAmazonに多額の費用を払わずに済むようにするには、別のスキルが必要となる」とRosen氏は言う。「重要なことは、簡単に始められるからといって、大きなビジネスに急速に成長するのが簡単だとは限らないということだ」(Rosen氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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