DMM.comは1月27日、ロボット関連事業に参入すると発表した。“ロボット同士がインターネットを通じてつながり、データ連携することで成長するロボット”と同社が定義する「スマートロボット」の市場普及に向け、「ロボットキャリア事業」を開始する。2015年の年間売上目標は30億円。2017年には100億円までの成長を見込む。
同事業は、携帯電話のキャリア事業と似たイメージで展開される。DMM.comがプロモーションや販売を中心に手掛け、一方でロボット関連ベンダーは設計開発と製造に注力する形となる。DMM.comでは、この構造により技術力が向上し、日本市場、世界市場に優れた商品を投入できるようになると説明する。
まずは、コミュニケーションロボットやホビーロボットを中心にロボット販売プラットフォームを構築し、スマートロボットを「DMM.make ROBOTS」で販売する。同プラットフォームでは、富士ソフト、ユカイ工学、プレンプロジェクト、ロボットゆうえんちの4社とアライアンスを組む。また特別タイアップ企業としてデアゴスティーニ・ジャパンが参画する。
各社が同プラットフォームを通して販売するのは、富士ソフトは自律型コミュニケーションロボット「Palmi(パルミー)」、ユカイ工学は家族向けコミュニケーションロボット「BOCCO(ボッコ)」、プレンプロジェクトは運動能力の高い小型ロボット「PLEN.D(プレン.ディー)」、ロボットゆうえんちは踊るメイド型ロボット「プリメイドAI(プリメイド・アイ)」、デアゴスティーニ・ジャパンは動きや会話を楽しめるロボット「Robi(ロビ)」の組立済製品となっている。
同時に、ロボット製造メーカー、ロボットテクノロジメーカー、ロボット開発ベンチャーなどの企業をDMM.make ROBOTSに集め、DMM.comが2014年末に開設した、ハードウェア開発に必要な機材を取りそろえたシェアスペース「DMM.make AKIBA」と連携させることで、“場所と技術の共有”によるロボット産業の脱ガラパゴス化を図る。
DMM.com ロボット事業部の岡本康広氏は「ロボット業界は10年前から変わっていないとよく耳にする。これは“変わっていない”のではなくて、せっかくいい技術を持っていても、1社では新たな技術開発が進まず、連携もとれないため、結局いいものが作れなかった。そのため、『これが日本のロボットだ』というものが生まれなかった」と考察する。
ロボットキャリア事業での今後の主な戦略は、(1)ロボット販売プラットフォームの市場認知拡大、(2)日本屈指のロボットアソシエーションの構築、(3)産業用ロボット技術の一般販売化、(4)グローバル展開――の4つ。(4)では、日本のロボットを世界で販売するほか、欧米を中心に生み出されているロボットを日本国内で販売することなども考えているという。
ロボット市場を巡っては、現在、米国を中心としてロボットにAIやクラウドを活用する動きが活発化している。日本では、電通がコミュニケーションロボット事業に参入したり、ソフトバンクが2月に「Pepper」を発売する予定だったりするが、国内全体でロボット販売会社はそう多くなく、メーカー間での連携もないため、ロボット技術のガラパゴス化が進んでいる。
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