新生ソフトバンクモバイルが誕生した3つの理由--4社合併で攻勢へ - (page 2)

“セット割”競争に備えた固定・モバイルの融合

 2つ目の要因は、2015年からNTT東西の光回線卸が開始することにある。今回の合併内容を見ると、移動体通信の2社だけでなく、ソフトバンクテレコムとソフトバンクBBといった固定通信事業者も含まれているのが分かる。その背景にはやはり、NTT東西の光回線の卸によって、固定・モバイル一体でのサービス競争が加速するとの読みがあるといえそうだ。

 NTT東西は2014年5月に、光回線によるサービスを他社に卸売りする「光コラボレーションモデル」の提供を発表しており、これを受けてNTTドコモが2月より、光による固定回線サービス「ドコモ光」を提供すると発表したことが、大きな話題となった。


NTT東西の光回線卸の開始を受け、10月にはNTTドコモが「ドコモ光」の提供を発表。固定・モバイル一体でのサービス競争が加速すると見られる

 ただし、光回線の卸売を受けられるのは、NTTドコモに限られた訳ではないことから、いくつかのISPなどが卸を受け、光回線を用いたサービスを提供すると見られている。その中にはソフトバンクグループも含まれており、2014年10月31日にはソフトバンクBBがその卸を受けて光回線サービスを提供し、ソフトバンクモバイルとの同時契約による、いわゆる“セット割”を実施する方針も示していた。

 すでに、固定・モバイルの一体による契約と、それによってモバイルの回線を割り引く“セット割”は、光やCATVなどの固定通信事業をグループ内に持つKDDIが「auスマートバリュー」で積極展開しており、同社が躍進する原動力となっている。ソフトバンクモバイルも自社のADSLなどを対象としたセット割「スマホBB割」などを提供しているが、KDDIと比べ対象となる固定通信事業者が少ないことからあまり効果を発揮していなかった。

 だが、光回線を自社で直接提供できるようになったことに加え、今まで電波通信事業法の制約を受けていたNTTドコモも、光回線の卸によりセット割が実現できるようになった。そのため今後は、固定・モバイルが一体となったサービスに関する競争が急速に加速するとソフトバンクは判断。固定・モバイル一体でのサービス開発や営業などを強化するため、固定通信事業を手掛けるソフトバンクBBやソフトバンクテレコムも合併させるに至ったと考えられそうだ。

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