ハイアールアジアは1月14日、戦略発表会「Haier Asia Innovation Trip! 2015」を開催し、家電製品を利用した新しいビジネスモデルなどについて発表した。
ハイアール代表取締役社長兼CEOの伊藤嘉明氏は、2014年2月の就任から1年弱。デザイン家電を手がけるamadana代表取締役社長の熊本浩志氏と意気投合した伊藤氏は、2014年6月のamadanaとの業務提携に加え、熊本氏をハイアールアジアのCCOに迎えるなど、新たな体制を築いている。
伊藤氏はこれまで、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、日本コカコーラ、デル、レノボ、アディダス・ジャパンで要職を歴任するが、家電業界はハイアールが初となる。伊藤氏はそんな自身を「新参者」と呼び、「業界の新参者だから見える視点がある。よそ者なりに何かしようと考えた」と切り出した。
伊藤氏は、(1)家電を利用した新しいビジネスモデルの構築、(2)既存分野でのイノベーション、(3)家電の嗜好品化──の3つを柱に説明した。
最初に発表したのは、32型のフルHD IPS液晶ディスプレイを2枚搭載した冷蔵庫のプロトタイプ「DIGI」だ。スマートフォンから操作し、このディスプレイを活用してペットを飼ったり、大型のアクアリウムで熱帯魚を飼ったりできるデモを披露した。
これまでの家電は、基本的に製品を販売した時点で完結するというものだ。ペットや熱帯魚美しい壁紙などを販売するなどし、サブスクリプションを導入することで、従来の家電業界における「売り切り型」のビジネスモデルから脱却を目指すという。
伊藤氏は「IoT、インターネットにつなげることで可能性は無限になり、冷蔵庫は単なる箱ではなくなる。冷蔵庫の収納時にスキャンすれば、賞味期限を教えてくれる。さらに企業との連携で広告にもできる。1日に1回は開ける冷蔵庫なら、安否確認などのコミュニケーションツールにもなるかもしれない」と説明する。
さらに、ネットワーク接続された液晶ディスプレイを活用した、「デジタル額縁」(提供時期未定)をベースにした事業を展開することも明らかにした。
コンテンツ事業に携わってきた経験を持つ伊藤氏は「音楽と芸術は国境を越える」と自信を見せる。冷蔵庫と同様に、液晶ディスプレイの販売だけで収益を上げるビジネスではなく、国内外で配信するコンテンツ(画像)の提供により継続的に収益を上げるビジネスモデルだ。広く配布するため、液晶ディスプレイは可能な限り低価格に抑えて提供するという。
「おしゃれなブランド広告もたくさんある」とし、個人での利用はもちろん、飲食店やホテルのように、レイアウトやインテリアをシーズンごとに一定期間変更する必要がある企業や事業所などにも適していると見る。第1弾のコンテンツとして「Rock Paper Photo」を提供する予定としている。
このほか、オフィス向けに無料で冷凍庫を無償で提供し、冷凍食品を販売するサービスなどもサイバーエージェントと試験運用中という。
また、既存分野でのイノベーションとして、約200gのハンディ洗濯機「HCW-HW1(コトン)」(1万800円、3月上旬発売)を発表しウェブサイトで予約販売を開始。さらに水を使わず空気(オゾン)で洗う「スーツリフレッシャー」(2015年春販売予定)を発表した。
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