NTTドコモと東京大学医学部附属病院は1月15日、共同で研究・実証試験を進めてきた「クラウドサーバー型モバイル12誘導心電図伝送システム」を、1月20日から医療機関や自治体消防本部向けに商用提供すると発表した。
このシステムは、東大病院が東大病院22世紀医療センター内に設置した健康空間情報学の社会連携講座において研究・実証試験をしてきたもの。システムは、初診時やCCU、ICUなどで使用される標準12誘導心電図を採用し、1回の計測で10秒程度の立体的な心臓の状態を把握することができるLabTech社製心電計、心電図の確認やクラウドサーバーへの保存を行うモバイル端末、心電図を医療機関と共有するためのクラウドサーバーで構成されている。
実証実験においてシステムを運用した結果、心筋梗塞患者のカテーテル治療により冠動脈血流を再開するまでの時間について従来より平均30%の短縮効果が得られることを確認したほか、患者の救命率や予後の向上などに対する有用性を明らかにすることができたという。ドコモと東大病院ではこの実証実験の結果に関する学術研究発表を国内外で行っており、医療的な安全性・有効性が評価されているとのこと。
救急医療の現場では、カテーテル治療の発達により病院内の治療成績は大きく改善したが、対照的に病院外の救命率は顕著な改善が得られていないという。このシステムによって適切な救急搬送と時間短縮を実現することにより、循環器に問題のある救急患者の救命率および生命予後を向上することに対する医療現場の要請に応えたい考えだ。
なお商用提供にあたっては、ドコモは営業取次と販売促進を行い、医療機関などへの営業・販売活動は医療機器販売免許を所有するメハーゲンが担当。また、メディカルテクニカが機器の輸入業務を担当する。
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