配達や引っ越しなどでバイクや大型バンなどを利用したい。そんなとき運転手に直接連絡を取ることのできるアプリがアジアで盛り上がりをみせている。仲介者やコールセンターを介することなく、効率的に配達車などを利用できることから「ロジスティクス・アプリ」と呼ばれている。
この市場のけん引役は「lalamove」と「GoGoVan」。ともに香港を拠点としている。2つのアプリは「ロジスティクスのUber」と称されており、アジアの非効率な物流に一石を投じると期待されている。
lalamoveは2013年12月に創設された。現在は、香港、シンガポール、バンコク、中国・広州市、深セン市、台北でサービスを提供している。登録している運転手は1万7500人以上。シンガポールでは2014年7月にサービスを開始した。同社広報担当がシンガポールのビジネス・タイムズ紙の取材で明らかにしたところによると、シンガポールでの登録運転手は約3800人。
1月5日、lalamove(旧名EasyVan)はシリーズA資金調達で、1000万米ドルを調達したと発表した。調達資金によりアジアのロジスティクス・アプリ市場で攻勢をかける狙いだ。lalamoveの幹部Blake Larson氏はテッククランチのインタビューで、次のターゲット市場として、日本、中国、東南アジアをあげている。lalamoveに出資したのは、中国拠点のベンチャーキャピタルCrystal Stream Capitalのほか、Geek Founders、Mindworks Ventures、Sirius Venture Capital、Aria Groupなど。
一方で、GoGoVanも活発な動きをみせている。GoGoVanはlalamoveより半年早い2013年6月に創設され、現在オーストラリア、大中国圏、東南アジア、韓国で事業を展開している。
同社は2014年8月のシリーズA資金調達で650万米ドルを調達。その後、11月に米ニューヨーク証取に上場する中国のインターネット会員制交流サイト(SNS)大手の人人網から1000万米ドルを調達し、これまでに計1650万米ドルを調達したとみられている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、人人網のGoGoVan出資比率は10%近くにまでに上がったと報じている。GoGoVanの評価額は1億米ドルを超えるとみられる。
さて、アプリの使用感だが、どちらも3ステップでバンを予約できるようになっており、かなり使いやすい印象だ。まず、ステップ1と2で、日時、目的地、バンの種類、荷物の重さなどを設定する。
また、いくつかのオプションを選ぶことも可能だ。lalamoveでは、オプションとして、エクスプレス便(2時間以内)、冷蔵配送がそれぞれ5シンガポールドル(Sドル)追加すると利用できる。空港エリアなど特定区域での受け取り・配達には15Sドルが追加される。このほか、ドアツードアや廃棄オプションがある。GoGoVanもlalamoveとほぼ同じオプション内容となっている。そしてステップ3で、内容を確定し、予約する。
いくつかの設定を試してみたが、料金はオプションなしで10~30Sドルほどと、手頃な値段に収まった。アプリは初めてでも直感的にわかるインターフェースになっており、急な配達や引っ越しなどで役立ってくれそうだ。
アジアでは中間層の台頭に伴いモノの移動が急増すると見込まれているが、物流インフラの整備がまだ追いついていない。既存の物流リソースをうまく活用するロジスティクス・アプリがそのギャップを埋めるだろうか。
一方で懸念もある。Uberが最近、利用するドライバーによるトラブルについて批判、もしくはいくつかの国ではサービスの提供禁止を余儀なくされるなど、逆風にさらされている。こういった視点からも、今後の展開に注目したい。
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