「アジアのイノベーションが世界の将来を握っている」――グーグルは11月4日、モバイルの成長が著しいアジア諸国が、世界のテクノロジにいかに影響を与え、指針となっているのかを事例を交えながら紹介するイベント「The Mobile First World」を台湾で開催した。なお、同社は2年続けて台湾でモバイルイベントを開催している。
同日登壇したGoogle Play アジア太平洋地域統括副社長のクリス・ヤーガ氏は、モバイル領域のトレンドやイノベーションは「西から東ではなく、アジアから西洋へと広まっている」と語る。その例として挙げられたのがスマートフォンのカメラを使った「セルフィー(自撮り)」だ。米国のアカデミー賞などでセレブが投稿したセルフィー写真を見たことがある人もいるだろう。
セルフィーは、英オックスフォード辞典の2013年の「今年の言葉」に選ばれるなど世界的なブームとなっている。しかし、日本や韓国ではもっと早い段階からスマートフォンに高精細なフロントカメラを搭載し、セルフィーも数年前から一般的になっていたとヤーガ氏は語る。
また、伸縮する棒の先端にスマートフォンを固定することで、人から撮ってもらったような構図で写真が撮れる“セルフィー棒”も、アジアを中心に人気が高まっている。グーグル検索の推移を見ると、2014年に入り、特にマレーシアやフィリピンなどの東南アジアで、このセルフィー棒の検索数が爆発的に伸びているという。まだ欧米での注目度は低いが、今後同じように普及する可能性はある。
続いて、アジアが世界をリードしている例として挙げられたのが約5~7インチのスマートデバイスである「ファブレット」だ。韓国では2013年時点で全スマートデバイスのうち約25%、つまり4人に1人がファブレットを利用しており、大きな画面で写真撮影や動画視聴、ゲームなどを楽しんでいる。
世界的には、まだ5インチ以下の片手で操作できる端末が主流だ。だが、アップルが5.5インチのiPhone 6 Plusを、グーグルが6インチのNexus 6を発表するなど、大画面化が進んでいることは間違いない。「2010年頃には、ファブレットを使う韓国人は変わっていると感じた人もいるかもしれない。しかし、現在のデータをみると、他国のキャッチアップが遅れていただけだと言える」(ヤーガ氏)。
欧米では、デスクトップPCやノートPCからインターネットに触れている人が多いが、アジアの新興国ではPCよりも安価なことなどから、モバイルで初めてインターネットへアクセスする人も少なくない。たとえば、マレーシアでは35%、ベトナムでは24%、シンガポールでは16%がそれに該当する。そのため、ビデオ視聴や音楽再生などデジタルコンテンツの消費もモバイルが中心だ。
こうしたアジア諸国では、PCよりもスマートフォンを優先する「モバイルファースト」ではなく、最初からスマートフォンありきで物事を考える「モバイルオンリー」の傾向が強まっているとヤーガ氏は話す。「欧米がモバイルファーストやセルフィーなどを新しい概念のように話すが、これらがリアルタイムに起きているのがアジアだ」(ヤーガ氏)。
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