オーディオ機器メーカーMonsterが、Apple傘下でハイエンドのヘッドホンを提供するBeats Electronicsを提訴した。Beatsの共同創設者らが、Appleに32億ドルで買収される前に、Monsterとの関係を断ち切ることを企てたと主張している。
カリフォルニア州ブリスベインを拠点とするMonsterは、カリフォルニア州サンマテオ郡の上位裁判所に米国時間1月6日に提出した訴状の中で、「Beats by Dr. Dre」シリーズのヘッドホンは、Beats共同創設者のJimmy Iovine氏とラッパー兼プロデューサーのDr. Dre氏との提携の下で開発されたと主張している。訴状によると、台湾の端末メーカーHTCが2011年にBeats株式の51%を取得した際、Beatsはチェンジオブコントロール条項(資本拘束条項)を利用して同ヘッドホンシリーズとその技術を「不正に取得」し、Monsterに莫大な金銭的損害をもたらしたという。
「提携が元来の契約条件に基づいて満了していた場合、開発、エンジニアリング、製造、マーケティング、流通、販売のすべてを含む『Beats By Dr. Dre』製品シリーズの権利をMonsterが譲渡することはなかった」と訴状には記されている。「また被告は、Monsterの世界的な流通チェーン、主要な小売関係、知的財産権をも奪った」(同訴状)
HTCが株式を取得してから1カ月も経たないうちに、Beatsがその株式の半数を買い戻したと、Monsterは指摘している。
Monsterが「企業による背信」と表現する行為によってDre氏とIovine氏は、会社を2014年にAppleに32億ドルで売却し、莫大な資産を手に入れた。Appleにとって、同社史上最大規模の買収だった。
Monsterはこの取引によって莫大な損害を被ったと訴状(PDF)には書かれている。Monsterの最高経営責任者(CEO)で原告の1人であるNoel Lee氏は2012年、HTCとの取引について透明性の欠如が懸念されるとして、保有していたBeats株式の保有率を5%から減らすように説得されたと主張している。訴状によると、Lee氏はその後、保有していた残りの1.25%の株式をBeatsに550万ドルで売却するように迫られたという。Appleによる買収が発表された後には、Lee氏が当初保有していた5%の株式に1億ドル以上の価値があったことになると、訴状には記されている。
訴訟では、Beatsのその他2名の幹部とHTCも被告に挙げられており、損害賠償(金額は指定されていない)を求めている。
Appleはこの訴訟に関するコメントを避けた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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