この連載では、シンガポール在住のライターがアジア域内で注目を集めるスタートアップ企業を現地で取材。企業の姿を通して、アジアにおけるIT市場の今を伝える。
今回紹介する「HarukaEdu」は、インドネシアのオンライン教育プラットフォームだ。ユーザーはオンラインで大学の授業を受け、学期末に大学で実施される試験に合格すれば学位を取得できる。サービス展開の戦略や、同国の教育が抱える課題などについて共同創業者のNovistiar Rustandi氏に聞いた。
サービスが開始されたのは11月。インドネシアでコミュニケーションを学問として学べる最高学府の1つ、LSPR(London School of Public Relations)と提携し、コミュニケーション学問の学位取得プログラムを提供するところから始まった。
ターゲットは、学歴問わず社会人としてすでに働いていて、大学で学士もしくは修士学位を取得したい人たち。仕事や家庭が忙しいため、週に何度も通学したり、フェイス to フェイスでのプログラムを受講することが難しい人でも、ネットに接続さえしていれば、時間や場所を問わず授業を受けられる。
現在学ぶことができるのは、先述のコミュニケーション学問に加え、Indonesia Entrepreneur Universityの経営学の学士過程、STM Laboraの経営学の修士過程。将来的には、会計、情報システムなどの学位を取得できるプログラムや研修用のプログラムも提供していきたいという。
大学にも、多額の投資やリスクなくオンラインでプログラムを開始できるようサポートをしている。具体的には、カリキュラムのオンラインでの公開、教材のデジタル化、レクチャーする講師の採用とトレーニング、生徒を集めるためのマーケティングの支援などだ。
サービス開発の動機についてNovistiar氏に聞いたところ、同国の文部科学省の調査によれば、2010年に約250万人の大学進学希望者がいたが、実際に進学できたのは約100万人。大学側のキャパシティが足りないため、多くの人が大学に行きたくても行けず、教育を諦めてしまっているという現状があるそうだ。
また、大学が夜間に行っているプログラムもあるが、受講者にとって1日働いた後に授業を受けるのはものすごくタフ。加えて、夜間の授業が始まる帰宅ラッシュの時間帯は、ジャカルタなどの都市部の道路は大渋滞となるため、そもそも大学に通学すること自体が難しい。なんとか学校にたどり着いたとしても、受講者のコンディションはベストではないという。
大学が週末に行っているプログラムもあるが、家族とのつながりをより大切にする同国の人たちにとって、自分の学習のために週末の家族との時間を犠牲にすることはできることなら避けたいという思いもあるという。
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