マイクロアドは、同社が日本で提供する、媒体社の収益最大化を図る広告配信プラットフォーム(SSP)「MicroAd COMPASS」の東南アジアへの本格展開を開始する。注力するのは同社が拠点を構える国や地域のうち、ベトナム、台湾、インドネシア、韓国の4カ国。各拠点に専門の事業部を立ち上げるなどして展開し、その他の国にも順次拡大を図る考えだ。
同地域のSSP市場に関するトピックといえば、11月6日、トランスコスモスとジーニーが、シンガポールに共同出資の新会社Simba Digitalを設立し、ASEAN 10カ国において「Simba SSP」の提供を開始すると発表したばかり。いよいよ市場が形成されようとしているが、その中でマイクロアドはどのような戦略を展開するのか。同事業の責任者である道家康貴氏に聞いた。
これまで東南アジア各国でDSP(Demand Side Platformの略。広告主向けの広告配信プラットフォームのこと)「MicroAd BLADE」を提供してきましたが、広告主のディスプレイ広告配信に対する需要の高まりにインベントリー(広告枠の在庫数)が追いつかず、不足しているという課題を抱えていました。
MicroAd BLADE は、GDN(グーグルが提供するディスプレイネットワーク広告のこと)や各国のローカルアドネットワークなどとも接続していましたが、SSP側からより多くのインベントリーをDSPに供給することで、MicroAd BLADEの強みを伸ばしていこうという全社を横断した狙いがあります。
日本で展開してきたプロダクトを東南アジアに持ち込みますが、ローカライズは必須だと思います。特に、エキスパンド広告やプレロール広告など、いわゆるリッチ広告に対する広告主、媒体社双方からの需要が日本に比べて大きいため、あらゆるフォーマットにも対応できるようにしていきます。
これまでアプローチした媒体社の担当者のSSPに対する認知度は5%未満。現時点ではまだ、アドネットワークを利用している媒体がほとんどで、その中でもリッチ広告のシェアが伸びていると感じています。
アドネットワーク広告がもてはやされている東南アジアのいまの状況は、SSPが登場した約4年前の日本に近いかもしれません。つまり、媒体社は収益化に課題を感じている一方、それに対する解決策を模索している状況です。
日本ではその後、弊社を筆頭にSSP事業者が市場を啓蒙することで浸透していきましたが、東南アジアではプレイヤーの数が限られており、また市場をリードする先行者もいまだ存在しません。我々はそのポジションを狙います。
当面は、私とベトナムの事業担当者の2人でベトナムの媒体社を開拓していきますが、その後1年以内に全拠点に事業部を開設したいと考えています。各拠点の事業担当者には、現地のメディア事情に精通した現地採用の従業員を配置する予定です。
今後1年間の目標は、主要拠点の各トップ20~30社、地域全体で約200社に導入してもらうこと。この数値を達成できれば、広告主に提供できるグローバルのインベントリーを先行して抑えることが出来ると考えます。
優先してアプローチする媒体は、ポータルサイト、現地のニュースサイトなど広告主からの信頼性の高い媒体、もしくは女性向け、ビジネスマン向けなど一部の読者層に特化している媒体で、月間のページビュー数が一定の規模であるものに絞って拡販していきます。すでに、月間のページビュー数が5000万を超えるある媒体で導入が決定しています。
これまで東南アジアで展開してきたDSP事業での実績や、それを通じて培った媒体社とのつながりを、SSP事業にも生かしていきたいです。
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