椙原氏 : 当初はアプリを起動するとチュートリアルが出て、連載作品が一覧で表示されていたのですが、それだとユーザーが何を読めばいいのか分からず迷ってしまうという課題がありました。そこで、現在は起動時に2つの人気作品を前面に出して、どちらかを選びやすいようにしています。僕らの中で完読者数をKPIとして見ていまして、その数値が高い作品に入れ替えるようにしています。あえて選択肢を狭めることで、滞在時間や閲覧数は改善されました。ただ、この形が正解とは思っていないので改善は続けたいと思います。
赤沼氏 : comicoで苦労したのは、やはり初期の頃は作品が溜まらなかったことです。comicoのマンガはすべて縦スクロール表示なのですが、作家さんもこの独特の書き方に慣れておらず表現の仕方に苦労されていたようです。最近は徐々に縦読みというものが認知されつつありますが、まだまだ多くの作家さんにとっては未知のものなので、今後も試行錯誤していくと思います。
椙原氏 : 縦読みマンガでいうと、韓国の「Webtoon(ウェブトゥーン)」が人気ですよね。僕らもスマホ時代のマンガの読み方として、縦読みのアプローチも企画段階から検討していたのですが、まずは紙のマンガのようにページをめくっていく、既存のUXを踏襲することにしました。ユーザーが作品を投稿できる「マンガボックス インディーズ」では、縦読みの作品も掲載されています。将来的にはどちらの見せ方にも挑戦してみたいですね。
赤沼氏 : UIとしてスマホを操作する観点で見た時に、縦スクロールで読めるのは読者からも好評ですね。通常のスマホマンガだとどうしてもコマが小さくなってしまって、その都度指でピンチアウトしたりする必要がありますが、縦読みだとそれぞれの画面サイズに最適化されるので、そこもご評価いただいています。実は我々も横読みも検討したのですが、やはりスマホの環境をフルに活かすには縦読みがいいだろうということで今のスタイルになりました。
椙原氏 : マンガボックスはどんな人がきても興味のある作品が見つかるサービスを目指しているので、男性に強いといったイメージを打ち出しているわけではないのですが、現状の連載作品をみるとやや男性がユーザー層としては多いですね。特に10~20代が7割を占めています。ただ、今後は女性向けのラインアップも増やしていきたいと思っています。
椙原氏 : まだ単行本化はされていませんが、すごい閲覧数を記録しているのは「恋と嘘」というマンガです。先日ダ・ヴィンチが発表した「次にくるマンガ大賞」の「本にして欲しいWeb漫画部門」にもノミネートされました。既刊のものですと「GREEN WORLDZ」という作品が、同じく「これから売れて欲しいマンガ部門」にノミネートされています。
赤沼氏 : comicoでは、運営が意図してこういうジャンルを集めようとか、テイストを絞ったりといったことは一切していません。読者の皆さんが作品を読んで面白いと思ったら評価し、それが集まっていくと結果的にランキングとして上位にくるという形なので、本当に読者が選んだ作品群ですね。今後も“スマホ時代のトキワ荘”というスタンスを続けていくつもりです。
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