東南アジアと一言で言っても、状況は国によってまったく異なります。私がいま特に注目している国は「台湾」と「インド」です。台湾にはEコマース事業者がそろっており、東南アジアと異なり市場も成熟していますが、一方で少し違った難しさがあります。一つは、企業の性格。同業他社が成功した先行事例がないと、新しい施策の実施に踏み切れない、コンサバティブな性格を帯びた企業が少なくありません。
もう一つは、公用語が英語でないことによるコミュニケーションの難しさ。サービスに興味を持っていただいたとしても、その詳細まで英語だけでご理解いただくのは簡単ではありません。先日、中国語が話せる営業担当者を採用したので、今後は業績をかなり伸ばせるのではないかと期待しています。
また、台湾は日本以上にスマホディペンデント(スマホを使用する頻度が高い人が多いこと)です。CriteoではPCにもスマホにも広告を配信できるクロスデバイスのサービスを提供しているので、モバイルコマース事業者向けのリターゲティングサービスを伸ばしていけると見込んでいます。
市場の大きさです。インドはとにかく人口が多く、上位層の企業の規模も大きい。しかもこれが3~4四半期後にはさらに拡大しているでしょう。市場の成熟度はまだまだで、ネットの普及率もおそらく3割程度ですが、ネットを利用している一部の富裕層を狙うだけでもそこそこの規模があります。
Eコマース市場も活況を迎えています。Flipkartが10億ドルの資金調達の計画を発表した直後に、Amazonが20億ドルを増資する方針を発表。10月にはソフトバンクが最大手のSnapdealに6億2700万ドルを出資し、筆頭株主になると発表しました。この市場が盛り上がれば、弊社にとっての事業機会がますます増えますので、これからも注目していきたいです。
インドのアドテクノロジ市場の特徴は、台湾に輪をかけてモバイルディペンデントなこと。PCは使わずモバイルだけを使うユーザーもいるほどです。今は多くのユーザーがフィーチャーフォンで商品を検索して、PCでコンバージョン(購入)に至りますが、この状況もなにかのきっかけでモバイルだけで完結するように一変する可能性があります。しかし、そのティッピングポイントがいつ訪れるのかは誰にも分からない。そんな新興市場ならではの面白さを感じています。
中国オフィスとシンガポールオフィスの立ち上げを行っていたときに、ジャン-バティスト・リュデルCEOから打診を受けました。赴任前は出張ベースで東南アジアを訪れていたのですが、日本に漂う閉塞感とは対照的な活気を市場に感じ、そこでチャレンジしてみたいと思い引き受けることにしました。
上場しているCriteoで、東南アジアでゼロからビジネスを始められるという、経営者としていいとこ取りをさせてもらえているのはありがたいです。たった1人で東南アジアを飛び回っていた赴任当初は、目の前のことで精一杯でしたが、今ではチームも10人まで増えてきましたので、より中長期的なことを考えられる余裕が出てきました。今は特に、チームワークをタイトに維持しながらビジネスを拡大させる方法を模索しています。
たまに旅行で海外を訪れて非日常を体験するようにしています。シンガポールのような多国籍なマーケットで仕事をしているだけでも、いろいろなことを学べるのですが、旅行ではまたひと味違った多様性を感じられて、それがビジネスのヒントになることもあります。先日はスペインを訪れたのですが、彼らはとても人懐っこく、素朴で暖かみがあり、また人生の楽しみ方を知っているとも感じました。
短期的にはこの市場で会社をどこまで伸ばせるかにチャレンジしたいと思っています。長期的には事業開発は好きなのでこれからもやっていきたい。しかし、事業開発は体力との勝負である一方、自分は年齢を重ねてきたのでやり方を考えなくてはいけません。
30代前半までは、いかに自分が個人としてパフォームするかばかりを考えていましたが、今は組織として適材適所で人員を配置して、大きな組織だからこそ成し遂げられることに取り組んでいきたいと考えています。ですから今は、優秀な人にジョインしてもらうための環境を整えるマネジメントの仕事にやり甲斐を感じています。
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