スーパーコンピュータのランキングリスト「TOP500」の最新版が米国時間11月17日に発表された。このリストは、学術研究者らが世界中のスーパーコンピュータからスピードテストのデータを集めて年に2回発表しているもので、スーパーコンピュータの性能が年々向上していることを示してきた。だが、最近は、性能向上のペースが鈍化している。
TOP500に入ったスーパーコンピュータの総合的な性能は、その大部分がリストの上位に来る少数の高性能システムに大きく左右される。だが、今回発表された最新のリストで新たにトップ10入りしたのは、第10位のシステムだけだった。
リストの最下位にも同じような問題が見られる。第500位のシステムの速度は2008年まで毎年平均で90%向上していた。だが、それ以降は、毎年55%程度しか速度が向上していない。
性能向上のペースの鈍化は、産業、科学、医薬、軍事など、コンピュータに発展を依存している分野にとってはやや懸念すべきことだ。スーパーコンピュータは、新しいジェットエンジンの設計テスト、高エネルギー物理学における核兵器爆発のシミュレーション、投資リスクの分析、埋蔵石油資源の探索、気象予測、薬品の仮想試験などに用いられている。
非常に高性能なスーパーコンピュータは、数千万ドルの費用がかかる上、設置するためにはバスケットボールコート並みの広さのデータセンターを必要とする。また、運用にもコストがかかる。今回首位となった中国の「天河2号」は、米国の標準的な家庭3400世帯分の電力を消費する。
4回連続で首位となった天河2号は、33.86ペタフロップスの速度で演算を実行できる。
しかし、天河2号が今後もずっと首位でいられることはなさそうだ。IBMは「Sierra」および「Summit」と呼ばれる2つのシステムを米エネルギー省から3億2500万ドルで受注したが、どちらも演算能力が100ペタフロップスを超えるという。これは、1エクサフロップス(1000ペタフロップスに相当)の演算速度を持つ「エクサスケール」スーパーコンピュータの実現を目指す上で重要な一歩となる取り組みだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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