コンピュータ科学部門のノーベル賞は存在しないが、コンピュータ科学分野で最高の賞とされるA.M.チューリング賞は、Googleの助成によって、賞金額がノーベル賞とほぼ同額になった。米計算機学会(ACM)は米国時間11月13日、チューリング賞の賞金額をこれまでの4倍となる100万ドルにすると発表した。
ACMの会長を務めるAlexander Wolf氏は、声明で次のように述べた。「Googleの手厚い支援のおかげで、世界や通信およびビジネスの方法、娯楽への接し方の変革におけるコンピューティング本来の役割を称えることができる」
ダイナマイトの発明で富を築いたAlfred Nobel氏の時代から、科学や技術の研究は劇的に変化した。物理学や化学は、コンピュータを動かす極めて重要な基盤であり、タブレットやスマートフォン、ノートPCのディスプレイに使われる青色LEDが2014年のノーベル賞を受賞したのは、その格好の例だ。だが、Googleは現在、チューリング賞で評価される高度なプログラミングやアルゴリズム、システム設計にもっぱら資源を集中させている。
Googleでエンジニアリング担当バイスプレジデントを務めるStuart Feldman氏は、「コンピュータ科学分野で重要な貢献があった時にはその人を評価することが重要だとわれわれは考えており、そういった変革者と世界に対する変革者たちの貢献について、ACMが意識を高める手助けをしたい」と語っている。
ACMは近年、人工知能や暗号化技術、UNIX、インターネットの基本システム、パーソナルコンピュータ、Ethernetネットワーキング、コンピュータグラフィック、プログラミング言語「Smalltalk」などの研究に対して、チューリング賞を授与している。
チューリング賞は、英国の数学者Alan Turingにちなんで命名された。Turingは、コンピュータ科学の多くの基本的要素の先駆者であり、1940年代にACE(Automatic Computing Engine)コンピュータの開発を支援したほか、現在人工知能のチューリングテストと呼ばれているものを考案し、第2次世界大戦中にはドイツの暗号機「エニグマ」の暗号を解読した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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