ダブリン発--「Oculus Rift」開発の立役者の1人によると、仮想現実(VR)業界は「誰が勝つのか予測できないゲーム」であるという。Oculusの創設者Brendan Iribe氏は、ライバルの大手ゲーム企業に対し、準備が整っていないVRデバイスを投入することで、「井戸に毒を入れる」べきではないと警告した。Iribe氏は、現地時間11月4日に当地で開催されたテクノロジカンファレンスWeb Summitに登壇し、仮想現実に対して自身が抱いている期待と懸念についていくつか説明した。登場したばかりの同テクノロジに対する新たな関心が高まる中で、Oculusは最も注目を集めてきた企業の1社だ。それは、同社が2012年、仮想現実ヘッドセットで記録的なクラウドファンディングキャンペーンを実施して以来、続いている。Oculusは2014年に入り、20億ドルでFacebookに買収された。
Oculusは、仮想現実を1990年代以降20数年ぶりに、再び注目を集める話題にしてきた。それでも、同社は現在のところ、デバイスを市場に出していない。Iribe氏は、最初のコンシューマー向け製品のリリースを数カ月先の問題としているが、同時にそれが「何カ月」も先のことであると認めた。その一方で、ソニーの「Project Morpheus」など、競合製品も展開し始めている。
Iribe氏の懸念とは、この競争では、一部の企業が、仮想現実に潜むいくつかの問題を解消しないままの製品でわれ先にと市場に乗り出そうとしているように見受けられることだ。酔いなどの問題を解消しないまま新たなデバイスをリリースすれば、仮想現実の時代がまだ始まってもいないうちに、仮想現実全般を世間が見限ってしまうだろうとIribe氏は懸念している。
Iribe氏は、「大手企業の中には、まだ準備の整っていない製品を展開しているところがあり、われわれはそのことを少々心配している」と述べた。このことは、同氏がソニーの関係者を招待し、Oculusを見に来てもらおうとした理由であり、「Oculusを見に来て、実際にあなた方の製品がこれと同じくらい素晴らしいものか、あるいは近いものであるかを確認してほしい。井戸に毒を入れてはいけない」と挑んでいる。
Iribe氏によると、Oculusの次なる課題は、ユーザーがゲームやその他のエクスペリエンスを体験する際に、人間の知覚機能を仮想現実に加えることだという。そうすることで、ゲームの中で周囲を見渡せるだけでなく、自分の手や体が周囲の環境とやりとりするのを認識できるようになる。Oculusは、映画「バーチャル・ウォーズ」で主人公が着用しているウェットスーツ型の装備を計画しているわけではない。Iribe氏は、最終的にヘッドセットをサングラスのサイズにしたいと考えている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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