急速にスマートフォンが浸透しているアジア地域だが、その一方で障害もあるとGoogle Southeast Asia プロダクトマネジメント統括部長のアンドリュー・マグリンチ氏は話す。
たとえば、新興国では経済的にスマートフォンを購入できない消費者も少なくない。そこで、グーグルは1万円ほどで購入できる実用的な低価格スマートフォン「Android One」を開発。9月からインドでの販売を開始した。2014年内にフィリピンやインドネシアなどでの販売も予定しており、新興国の新規顧客獲得につなげたい考えだ。
通信インフラも大きな課題だ。新興国の中には通信速度が2Gの地域もあり、いくら良質なコンテンツがあってもアクセスできなければ意味がない。そこでグーグルは「短期的」「長期的」なアプローチでこの課題に挑んでいる。
まず短期的な取り組みとしては、通信状況に応じて検索結果に表示されるコンテンツを変えている。通常、グーグルの検索結果ページにはキーワードに関連する画像なども表示されるが、通信状況が悪い場所ではテキストしか表示しないことでそのスピードを速めている。また、データを事前にキャッシュすることで、オフライン環境でもYouTubeの動画を見られるようにする機能なども提供している。
長期的な試作として実施しているのが「Project Loon(プロジェクトルーン)」。気球を飛ばして空からネットワークを環境を提供することで、世界のあらゆる人々がインターネットを利用できるようにすることを目指すプロジェクトだ。同社はこのプロジェクトのために無人航空機ベンチャーのタイタン・エアロスペースを買収している。
言葉や文化の壁もある。たとえばインドの女性の間ではインターネット普及率が低い。そこでグーグルでは専用のカート(車)を用意して、町や村、学校などを回りながらモバイルやインターネットについての理解を深めるためのレクチャーをしているという。またヒンドゥー語のキーボードを標準化したり、音声入力への対応も進めている。
同社では、こうした取り組みを継続的に実施することで、アジア新興国が抱えるスマートフォンやネットワークの障壁を取り除き、より多くの消費者にモバイル体験を提供していきたいとしている。
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