パナソニックは10月31日、2014年度第2四半期の決算発表会見を行った。連結売上は前年並となるも、営業利益は全ての事業で増益となり、通期見通しも上方修正した。
国内・海外を合わせた連結売上は1兆8706億円となり、対前年同期比で99%とほぼ横ばいとなったが、営業利益は対前年同期比で115%となる947億円となり、利益率は5.1%。キャッシュ残高を示す「ネット資金」は2013年度末時点で476億円の赤字だったが、今四半期で5年ぶりに353億円の黒字となった。
事業別に見ると、テレビ・家電などのアプライアンス事業について、テレビの売上は国内での需要減速や欧州での価格競争激化などを背景に前年比84%と減少したものの、営業赤字は前年同期の59億円から22億円に改善。一方、白物家電やエアコンの売上は堅調に推移し、事業全体の売上はほぼ横ばいとなった。営業利益については、収益性の改善などにより、前年同期の利益率が0.2%だったのに対して、今四半期は1.5%にまで改善した。
また、PC、デジカメなどのAVCネットワークス事業については、堅牢PCや堅牢タブレット、プロジェクタなどの法人向け販売が好調の一方で、プラズマパネル、スマートフォンなど不採算事業の撤退や整理に伴う販売減により減収。しかし、BtoB事業の増販による利益増や収益構造の改善により増益となっている。
そのほか、住宅用ソーラーやLED照明などを取り扱うエコソリューションズ事業、車載部品や半導体、液晶パネルなどを取り扱うオートモーティブ&インダストリアルシステムズ(AIS)事業なども、増収・増益となっている。
2014年度の通期業績見通しについては、売上高は7兆7500億円と据え置いたものの、営業利益は3100億円から3500億円(利益率4.5%)に、当期純利益は1400億円から1750億円に、ともに上方修正した。2015年度の達成を目標にしていた中期経営計画を1年前倒して達成できる見通しだという。
代表取締役社長の津賀一宏氏は、2013年に発表した中期経営計画の達成を前倒しで達成できることになった点について、「事業構造改革などを進めてきた結果、2012年度には29%あった赤字事業が12%(43事業部のうち5事業部)にまで減少し、目標とする営業利益率5%を達成している事業部もおよそ半数にまで増加した」とコメント。事業部の収益性を着実に改善したことが営業利益、利益率の目標達成に寄与していると語った。
一方、今後の成長戦略について、津賀氏は重点事業領域として「家電」「住宅」「車載」「BtoBソリューション」という4つを挙げ、家電はアジア地域を、住宅関連事業については日本とASEAN地域を、車載製品については日本と欧米地域を重点地域と位置づけ、経営資源を投入していくとしている。BtoBソリューション分野では2020年の東京オリンピックを見据えたインフラ事業を推進していきたい考えだ。
家電については、アジア市場に日本生産の付加価値の高い商品を投入し、「Made in Japanへの憧れを作るマーケティングを進めていく」(津賀氏)という。市場競争力・ブランド力を強化していきたい考えだ。また、車載製品事業については、10月からテスラモーターズとのパートナーシップにより、米国内のファクトリーにリチウムイオン電池を生産する現地法人を設立するなど、パートナーシップによる事業推進を強化していく。
同社は、2018年度には10兆円規模の売上を目標にしており、全ての事業において成長に向けた戦略的な投資も進めていきたい考えだ。今後の同社の方向性について、津賀氏は「事業構造の改革はまだ道半ばであり、このままオーガニックに10兆円規模の売上が達成できるとは考えていない。しかし、各事業の構造改革、収益性改善の進捗には手応えを感じている。今後のパナソニックは家電・住宅・車載・BtoBという重点領域を柱に国内・海外で成長を目指す」とコメントした。
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