東南アジア進出先の見極め方--ブイキューブ間下社長に聞く

 ウェブ会議システムをはじめとするビジュアルコミュニケーションサービス「V-CUBE」を提供するブイキューブ。同社では社長の間下直晃氏が自らその先頭をひた走り、東南アジア展開を進めている。

 域内最初の拠点は、2009年12月にマレーシア・クアラルンプールに設立したV-cube Malaysia。販売拠点として機能させ、同国だけでなくタイ、ベトナム、カンボジアにおける営業活動もここで行っている。2012年1月にはシンガポールに研究開発の拠点を設置。そして2012年7月にはインドネシア・ジャカルタに販売拠点としてV-CUBE INDONESIAを設立した。なお、2013年8月にはシンガポールにも販売拠点となるV-cube Singaporeを設立している。

 これらの国で提供する製品は日本と大きくは変わらない。インドネシア語、タイ語など、各国の公用語でのインターフェース対応やサポートはしているが、基本的には同じ内容の製品を横断展開しているという。


ブイキューブ代表取締役社長 CEOの間下直晃氏

――東南アジアでの業績について教えて下さい。

 域内だけでも黒字化しつつある状況です。日本で提供してきたサービスの基盤を利用してサービスを開発しているため、投資した分の回収は早いと読んでいました。しかし、日本におけるリーマンショック以降のように、爆発的に顧客企業が増えるタイミングがいつなのかはまだ分かっていません。

 現状、中国の売上は東南アジア全体の3倍の規模を見込んでおり、中国を含むアジアでの売上は大きく伸びてきているものの、まだグループ全体の2割です。5月にパイオニアの子会社を買収したので、その会社の売上を加えると1割程度になりますが、中長期的には、4割まで引き上げたいと考えています。

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 短期的な目標は置いていません。東南アジアは日本の5~6年ほど前のようなステージで、ウェブ会議などのビジュアルコミュニケーションサービスの市場自体が出来上がっておらず、企業に売り込みにいっても担当者が製品のことをまだ理解しきれていないような状況。企業を啓蒙しながら、実績を積み上げていく時期だと考えています。

 市場が形成され、伸び始めるまでに5~10年はかかる長期戦を戦っていく心構えでなければなりません。それは日本でも同じでした。日本ではこの市場に2004年に参入しましたが、リーマンショックまではいばらの道でした。東南アジアでもそのときが来るまでここで生き延び、事業をやり続けたいと思います。

 その中で注力することは「日本本社のグローバル化」です。日系企業が海外進出で失敗するよくある原因は、日本からの後方支援不足。そうならないために、社長である自分が東南アジア展開の前線で仕事をすることで、本社が海外を無視できないようにする狙いがあります。

――各拠点への投資についてはどう判断したのでしょう。

 どの企業にもあてはまる判断基準はあるでしょう。衣食住が足りていない、物価が低すぎる発展途上国ではないか、法規制的に参入は可能か、独資で参入できない場合には現地でチームを作ることができるかなど。それらに加え、国内の通信回線速度が一定以上かということも、弊社の特性上考慮しました。

 クアラルンプールに拠点を構えたのは、東南アジア各国と行き来できるハブ空港があること、政治・通貨が比較的安定していること、グローバル企業が集まるシンガポールにも近くまた次の先進国になり得ること、人口、物価、インターネット環境の整備状況などから総合的に判断して決めました。

 シンガポールは人件費、オフィス賃料などオペレーションコストがクアラルンプールの約3倍かかる一方で、比較的優秀なエンジニアが採用しやすく、また知財に対する補助金制度などもあることから研究開発の拠点を置きました。いまはインド、バングラデシュなど8カ国から集まった15人が働いています。

 一方で、東南アジアでは一般的に離職率が高く、3~5年ごとにいい転職ができないとネガティブな印象を持たれることもあります。そのため、時間をかけて人を育てるという日本的な考え方がフィットしないことも。社員が離職することを前提としたオペレーションも確立もこれからの課題です。

 シンガポールで開発した製品を物価の低いクアラルンプールで販売しても、意外と価格は下がりません。シンガポールにはアメリカ系をはじめとする競合企業が集まっていますが、クアラルンプールはそうではなく価格競争が起こりにくいからです。そのように域内を面でとらえて投資判断を行います。

――今後の拠点拡大の計画はありますか。

 常に各国での可能性を検討していますが、競合企業との差別化を図るために「欧米企業が参入しづらい国をねらう」というのは一つの手だと思っています。たとえば、英語を話せる人が少ない国などですね。

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