Facebookのパートナー企業向けイベントが10月16日、都内で開催された。同社創業者兼CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が登壇し、創業時のエピソードや今後の展望、日本市場での戦略などについて、同社成長戦略・アナリティクス部門 副社長のハビエル・オリバン氏との対談で明かした。
なお、ザッカーバーグ氏が初めて来日したのは2008年5月、Facebookの日本語版を発表した時のことだ。その際にはCNET Japanのインタビューに応じ、当時の日本での戦略やGoogleへの思いなどを語ってくれた。
◇6年前のザッカーバーグ氏
「グーグル? 大好きだよ」--Facebook創設者
創業したばかりの頃、世界中の人をつなげるといったことは考えていませんでした。まだ私は学生で、世の中にはいろいろな会社があって、それらの会社のほうが人々をつなげることができそうに思えたんです。ただ大学生だったので、たとえば大学内の人々をつなげるとか、一緒に講義を受けている人とつながりながら、自分たちの生活の一部を共有できればと思い、Facebookの初版を作りました。
オンラインでは、検索エンジンを使ってニュースや音楽、映画などを楽しめますが、胆となるのは「人」です。たとえば、家族や友人。当時のインターネットはそれが欠落していました。
彼らとのつながりを作ることが本当に必要だと感じ、まずはそれを大学で始めようと思いました。その後、物事がクレイジーに展開していきました(笑)。私は、実は大学以外の人々までつなぐ機会ができるとは想像もしていませんでした。
MicrosoftやGoogle、Yahoo!などの大手企業がどこかで介入してきて、ソーシャルネットワーキングサービスを作り、すべての人をつなげるだろうと思いました。
しかし、それが起きなかった。どんな理由があったのかは分かりません。ただの流行りでいずれきえてしまう、あるいはビジネスにならないと思ったのか知りませんが、当時、それらの大手企業は目も向けなかったのです。
我々は、人をつなげること、人々に声を与えること、国を代表してなにかを発信する(環境を作る)ことが本当に大事だと思っていました。ビジネスとして飛躍するかはさておき、時間とお金を費やして、そして10年後、ここまで大きくなりました。
いまや10億人以上がつながっているFacebook。本当に、本当に、素晴らしい10年間だったと思います。願わくば、このまま世界中をつなげていきたいと思っています。
Facebookができる前にも、ニュースを検索したり、音楽をダウンロードしたりと、いろいろなことができました。しかしながら「誰か」を検索すること、またその誰かとつながっていくという手段がありませんでした。それをやろうと思ったのです。
信頼できる安全な環境を提供し、自ら実名で登録をして、他の人たちを探すということ。たとえば、誰かの名前を入力して探すとなると、実名を使わなければいけない。実名を使うというのは、文化的にも大事だったと思っています。
Facebookでのさまざな行動様式は、実世界ととても密につながっています。実世界で偽名を使ったり、匿名だったりということは許されます。もちろん、それはそれで大事なことです。ただ逆に、1つのサービスくらい、実名で実世界とつながったものがあってもいいのではないかと私は考えました。
10億人を達成したときに、社内でもいろいろと意見がありました。2007~2008年頃からだったと思いますが、共同創業者の1人が「10億人つなげられるのではないか」と言ったとき、他のみんなは「何を言っているんだ。2000万人くらいじゃない?」という雰囲気でした。しかし10億人を達成しました。
そこで一歩下がって、なぜ10億人を達成できたのかを自問自答してみたんです。要は私たちは、人と人をつなげることを一番真剣に、思い入れを持ってやっていることに気付いたのです。
我々は長年利益を出すことができませんでした。しかし、我々の根底にある信念というのは、人々に声を与え、友人とつなげていく、その仕組みを提供することで、その後にビジネスとして拡大してきました。
この姿勢は、おそらく今後も変わらないと思います。現在13億人がFacebookを毎月使っていますが、そこに大きな課題があるとすれば、インターネットで人々をつなげる上で、実は世界人口のうちの3分の2、約50億人はインターネットに接続できない。
いまのFacebookの立場を考えると、いろいろなリソースがあって、ここまで人々をつなげることができた。今後、このインターネットアクセスという課題をどのように解決するのかという立場にある。現在、複数の技術系企業と提携し、インフラが整っていない地域にインターネットの安価に提供するプロジェクト「internet.org」を立ち上げています。向こう10年間はこのあたりに力を入れて、多くの人たちをつなげていきたいと思っています。
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