マカフィーは9月30日、2015年版の個人向けセキュリティソフトウェア群を発表した。10月17日から店頭とオンラインストアでパッケージ版やPOSAカード版で発売される。
米McAfeeのチーフコンシューマセキュリティエヴァンジェリストであるGary Davis氏は、Intel SecurityとMcAfeeのビジョンに触れて、モバイルデバイスの数はPCの約10倍で増加しており、そこを狙う脅威も増加していると説明。脅威はマルウェアやトロイの木馬、アドウェア、スパイウェアなどで、お金やプライベートな情報を盗み出そうとしている。
Davis氏は例として、人気ゲーム「Flappy Bird」の偽アプリを挙げた。この偽アプリや類似アプリは数多く公開されており、その79%にマルウェアが含まれていたという。感染すると、最悪の場合にはデバイスのルート権限を取得し、乗っ取られて自由に操作されてしまう。日本を標的とした最新の脅威として、金融機関を狙う攻撃や「LINE」のアカウントを乗っ取る攻撃を紹介した。
Davis氏はモノのインターネット(Internet of Things:IoT)への脅威にも言及した、2020年までに260億台以上がネットに接続すると予測されており、WindowsやAndroidを搭載する端末と同じように標的にされるとしている。実際に、IoTデバイスの上位10機種には、1機種平均で25件の脆弱性が確認されている。すでに赤ちゃんを監視するためのウェブカメラにハッキングされた事例もあり、攻撃者がカメラを通して子供に話しかけていたという。
プライバシーの領域では、ネットショッピングユーザーの85%がネット広告追跡調査に反対しているという調査結果がある。クラウドストレージサービス「iCloud」でのいわゆるセレブリティハッキングは記憶に新しいが、Apple最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏は「アイデンティティを守ることについて再教育が必要」と述べている。その一方で、Amazonのスマートフォン「Fire Phone」では、使用する際にカメラやマイクなどを使って周囲の映像や音をAmazonに送信していることがわかったという。
Davis氏は、この1~3月だけで1億7600万のデータ漏えい事件が発生していることも指摘し、過去最大になるのではないかとの見方を明らかにした。個人情報の漏えいリスクに関する調査でも、オンラインの個人情報保護で信頼できる会社として上位は銀行、医療、保険といった会社が占め、モバイルアプリやISP、携帯電話キャリアなどは信頼性が低いという結果が出ている。
McAfeeが日本を含む世界12カ国で実施したオンライン調査の内容も紹介された。2025年時点でのサイバーセキュリティに懸念を持っている日本人は回答者の67%となっており、最も懸念しているものとして「なりすまし犯罪や金銭の盗難・詐欺」を挙げた回答者は67%に上った。調査結果を受け、McAfeeは引き続き新しい製品や強化された機能を提供し、ネット接続デバイスと接する時間が増加している消費者のセキュリティニーズに応えるとした。
マカフィーのCMSB事業本部コンシューママーケティング本部のPMマネージャーである小川禎紹氏が新製品を紹介。新製品のラインアップは“クロスデバイスセキュリティ”と“Windows向けセキュリティ対策”の大きく2つに分かれる。
前者は、PCやスマートデバイスのデータや個人情報を保護する「マカフィーリブセーフ」(1年版で8208円)とWindowsやMac、モバイル端末などを包括的に保護する「マカフィーオールアクセス」(同9252円)。後者は、家族でネットを使うユーザー向けの「マカフィートータルプロテクション」(同7180円)、ネット上の脅威からリアルタイムにユーザーを保護する「マカフィーインターネットセキュリティ」(同7180円)、基本的なセキュリティ機能を搭載する「マカフィーアンチウイルスプラス」(同4212円)がある。
リブセーフでは、インストールしたいデバイスにメールを送ることで容易にインストールできるという仕組みに加えて、検知率やスキャン時間といったWindowsマルウェア対策、iOS向けセキュリティ、紛失対策、Wi-Fiセキュリティ対策などを強化したという。特に「CaptureCam」という機能は、ログインパスワードを規定数以上失敗した場合に、その場所の情報のほかカメラで操作しているユーザーを撮影するという機能を持つ。
同社コンシューマ事業統括の取締役、専務執行役員である田中辰夫氏は「マカフィーの個人向け製品は、NECや日本HPなどパソコンベンダーに採用されていることもあって、今年度は前年度から2桁成長している。マカフィーは個人向けに今回発表する2015年度版製品を目玉でありチャレンジとして展開していく。パッケージ製品に初めて“Intel Security”のロゴが使用される」と述べた。
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