Appleとアイルランドが、欧州委員会(EC)による租税調査の対象となっている。この調査は、自国へ投資を誘致しようとするアイルランド政府から、「iPhone」メーカーであるAppleが、不公正な補助を受けてきたのかどうかが争点となっている。
欧州委員会(EC)は現地時間9月30日、Appleとアイルランド両当事者間の金銭的な取引関係について詳査した21ページにおよぶアイルランド当局宛ての書簡を公開した。Appleの利益に対する課税方法の設定を目的として、Appleとアイルランドの間で1991年と2007年に交わされた合意内容に重点が置かれている。
欧州連合(EU)の競争担当委員であるJoaquin Almunia氏は6月11日付のこの書簡に、「ECとしては、この2つの合意を通じて、アイルランド当局はAppleに対して便益を与えたと考えている」と記している。「こうした優遇措置は、毎年そして現在も与えられており、年間の納税義務は、この合意を考慮した上で、税務当局によって承認されている」(Almunia氏)
Almunia氏はまた、この優遇措置は「選択的な方法で与えられて」おり、その結果、Appleは他の同業者よりも税負担が低くなっていると述べた。
アイルランドは、法人税率が12.5%と低く抑えられていることから、さまざまな企業にとってある種の租税回避国となってきた。こうした企業には、ハイテク関連の有力企業Amazon、Facebook、PayPal、Twitterなどがある。Appleは1980年からグローバル事業の拠点をアイルランドのコークに置いており、アイルランドで4000人以上を雇用している。
こうしたことから、この数年間、企業がいかにしてアイルランドの関連会社や事業所を通じて利益を移し、節税しているかを詳細に伝える報道がなされてきた。米議会上院は2013年、この問題について調査を開始し、Appleの本社が米国にあるにもかかわらず、アイルランドを拠点とする同社の子会社が60%もの利益を保有している可能性を指摘した。米政府は、Appleをはじめとする企業がアイルランドに利益を移すことで多額の節税を行っていると主張している。
Almunia氏が言及した1991年と2007年の「取り決め」の中で、Appleとアイルランドは同社の売り上げと利益に対する課税方法に合意した。今週に入って報じられた別の報道によると、Appleは、アイルランドの標準税率の12.5%どころか、2%の税率しか支払っていないと見られている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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