パナソニックは9月29日、4年ぶりに復活した「Technics(テクニクス)」ブランドから、スピーカやプレーヤーなどの新製品を発売すると発表した。リファレンスシステムの「R1」シリーズとプレミアムシステムの「C700」シリーズの2シリーズ7モデルをそろえ、2015年2月から順次発売する。いずれも受注生産になる。
テクニクスブランドは1965年に登場したパナソニックのオーディオブランド。単品コンポを数多くリリースしたほか、1990年代からはDJ機器としても人気を誇った。しかし新製品の発売は2008年のアナログレコードプレーヤー「SL-1200MK6」が最後となり、2010年にはテクニクスブランドを終息させた。今回は4年ぶりの復活となる。
テクニクスブランドの復活を担った、パナソニックアプライアンス社ホームエンターテインメント事業部オーディオ成長戦略担当理事である小川理子氏は「ハイレゾ音源再生の広がりも後押しとなり、2012年の秋ごろから大きなうねりが社内で起こり始めた。技術者のリーダーである井谷(哲也氏)を中心に設計メンバーが自主的に集まり、非公式な集団としてスタートした」と商品化に至るきっかけを話した。
リファレンスシステムR1シリーズは、ステレオパワーアンプ「SE-R1」(税別価格:158万円)、ネットワークオーディオコントロールプレーヤー「SU-R1」(同:83万8000円)、スピーカシステム「SB-R1」(同:134万8000円/1本)の3モデルをラインアップ。
ステレオパワーアンプのSE-R1は、ジッター削減回路とPWM変換回路を搭載した新開発のフルデジタルアンプ「JENO Digital Engine」を搭載し、豊かな高音質再生を実現。超低ON抵抗の「GaN-FET Driver」により、リニアリティに優れた再生ができるとしている。サイズは高さ239mm×幅480mm×奥行き564mmで、重量約54kg。
ネットワークオーディオコントロールプレーヤーのSU-R1は、NASやPC内にある音楽ファイルをネットワーク経由で再生できるプレーヤーだ。本体にはプリアンプを備えることで、シグナルパスの最短化を図り、パワーアンプSE-R1との接続には「Technics Digital Link」を使用。プリ、パワー間の理想的な信号伝送ができるとしている。サイズは高さ118mm×幅480mm×奥行き391mmで、重量約17kg。
スピーカシステムSB-R1は、16cmのコーン型ウーファ4つと同軸16cm平面型ミッドレンジ1つ、2.5cmのドーム型トゥイータ1つを搭載した3ウェイバスレフ型のフロア型スピーカだ。
高剛性かつ軽量のカーボングラファイト振動板を採用した「100kHz再生ドーム型ツィーター」と「低歪ロングストロークウーハー」を備え、超高域から超低域までの再生を実現。キャビネットには不要共振や回折反射を排除する「高剛性ラウンドフォルムキャビネット」を採用する。サイズは高さ1260mm×幅408mm×奥行き522mmで、重量は約76kgになる。
C700シリーズは、プリメインアンプの「SU-C700」(税別価格:15万8000円)、ネットワークオーディオプレーヤー「ST-C700」(同:13万8000円)、CDプレーヤー「SL-C700」(同:12万8000円)、スピーカシステム「SB-C700」(同:15万8000円/2本)の4モデルをそろえる。プレーヤーとプリメインアンプは、通常の単品コンポに比べやや小型になる幅340mmで統一。「オーディオファンのみならず音楽ファンにも使ってもらいたい」(小川氏)と、置きやすいコンパクトサイズを採用したという。
プリメインアンプのSU-C700は、R1シリーズ同様のフルデジタルアンプJENO Digital Eingineを搭載。ネットワークオーディオプレーヤーST-C700には各インターフェースラインのジッター対策、ノイズ遮断を徹底して透明度の高いサウンドを実現する「Digital Noise Isolation Architecture」を搭載する。
スピーカシステムSB-C700は、16cmのウーファと、1.9cmのドーム型トゥイータを備えた2ウェイバスレブ型。軽量アルミニウム振動板採用の100kHz再生ドーム型ツィーターにより、超広域再生を実現する。
C700シリーズのみCDプレーヤーSL-C700をラインアップ。「CDを楽しむお客様はまだたくさんいる」(小川氏)と見解を示した。
テクニクスブランドの復活は、独ベルリンで開催された「IFA 2014」で発表されて以来、注目を集めてきた。今回の復活についてパナソニックアプライアンス社上席副社長兼ホームエンターテインメント事業部事業部長の楠見雄規氏は「オーディオ市場の規模はさほど大きくないが、パナソニックとしては耳を通じて得られる感動を生活の中で味わっていただけるような製品づくりに取り組んでいく必要があると考えている。パナソニックブランドでやるよりも、欧州や日本で依然認知度のあるテクニクスブランドで再開させていただくほうがより理解が得られると考えた」とテクニクスブランドを採用した理由を話した。
今回はハイエンドオーディオモデルのみの発売となったが、今後については「車載用やヘッドホンなど、お客様の価値に見合うような新製品を検討していきたい。創業100周年を迎える2018年には、意欲的な数字になるが100億円規模でテクニクスを展開していきたい」(小川氏)とした。
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