クラウドソーシングサービスは単価が安い案件も多く“価格破壊”と言われることがあるが、吉田氏は今がまさに過度期だと語る。「たとえば、『食べログ』で4.0の評価が付いていれば、知らない町のレストランでも行きたいと思う。それがクラウドワークスでも起きている」(吉田氏)。優秀なエンジニアやクリエイターには企業からも高額な案件の発注が増えており、価格交渉もできるようになっているという。
また、クラウドソーシングは受注者が個人であるため、発注者側の企業が制作依頼をする際の要件定義が難しかったり、やりとりにディレクションコストがかかってしまい、納品までたどり着かないケースもある。そこで、同社ではマーケティングチームを増強。企業を訪問しながら、適切な発注範囲やコツをアドバイスするなどの取り組みを進めているという。
同社は2月に、米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)とクラウドソーシングに関する共同研究を開始。研究内容を発信するための特設サイト「クラウドワークスリサーチ」を開設した。この際に、MIT メディアラボ所長の伊藤氏にコンタクトし、さらに伊藤氏の紹介でジェフ氏とも知り合ったのだという。
クラウドワークスは、8月末に香港で開催されたITベンチャーアワードで、「2014 Red Herring Asia Top 100 Winners」を受賞。この時に吉田氏が感じたのが、シンガポールやインドネシア、ベトナムなど、アジア地域におけるクラウドソーシングへの関心の高まりだ。そこで今後は2人のアドバイザーの知見を得ながら、アジアから海外進出を始める予定だという。「10月末にも香港へ行く。当初は事業提携になると思うが、早ければ2015年の前半には何かしらの形にしたい」(吉田氏)。
最近は、クラウドソーシングのほか、空き部屋を貸し出す「Airbnb」やスマートフォンでタクシーを呼べる「Uber」など、時間やモノを共有する「シェアリング・エコノミー(共有型経済)」型のサービスが増えている。吉田氏は、この個人の資産の“見える化”の流れがさらに加速し、21世紀は個人から見た社会の再構築が起きると語る。
「なぜ企業が社会的な役割を担っていたかというと、一定のルールのもとに資本金や社員数、売上などの資産を見える化していたから。そういったものが今後は個人においても整理されていく。今はその序章であり非常にロングスパンにはなるが、10~20年かけてクラウドソーシングを通して個人のスキルを見える化し、21世紀の新たなワークスタイルを作っていきたい」(吉田氏)。
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