ゲームにおけるビジネスモデルとして普及している「基本プレイ無料」。PCオンラインゲームや、ソーシャルゲームに代表されるモバイルデバイスでのゲームはもとより、最近ではコンシューマ用ゲームソフトでも採用することが珍しくない。そのような流れの中で、いち早くアーケードゲームの市場で基本プレイ無料に乗り出したのがセガ。現在「ぷよぷよ!!クエスト アーケード」(ぷよクエAC)と「コード・オブ・ジョーカー」(COJ)の2タイトルをリリースしている。
もっとも身近にあるモバイルデバイスやコンシューマゲームとは違い、アーケードゲームは特定の場所でプレイするもの。また数多く普及しているモバイル端末、コンシューマゲーム機と比較すると設置台数は少なく、市場環境やビジネスモデルも異なる。このような中でアーケードゲームの基本プレイ無料を導入した経緯や成果、課題について、この2タイトルを開発した第一研究開発本部の本部長を務める西山泰弘氏に話を聞いた。
アーケードゲームとして初めて基本プレイ無料を導入したぷよクエACは、パズルゲーム「ぷよぷよ」をベースに、タッチ操作によって“ぷよ”を動かし、同じ色のぷよを4つ並べて消して敵を攻撃。クエストを進めてクリアを目指していく内容。プレイヤーは硬貨を投入することなくゲームを開始でき、クエストを進めるときに「げんき」という、いわゆるスタミナに相当するゲージを消費。このげんきは時間経過によって回復するが、硬貨の投入によっても回復する。
ほかにもパーティを組むキャラクターカードを召喚する際、ゲーム内で得られるポイントを使用することもできるが、硬貨を投入した場合は、よりレアリティの高い強力なキャラクターが召喚しやすいようになっている。この召喚はいわゆる「ガチャ」であり、げんきの回復とともに課金要素のひとつとなっている。
基本プレイ無料を導入した狙いは、一言で言えば“マス”に向けたアプローチ。ゲームセンターは、その名の通りゲーム好きなユーザーが集まる場所であり、あらかじめゲームジャンルの特性を理解していたり、事前に勉強するほどの熱量を持ったユーザーが多くいる状況だという。そのユーザーをターゲットとしてゲーム内容もより遊びごたえのあるものへ進化を遂げてきた。こういったゲームセンターならではの遊びごたえのあるゲームを、今の時代にあわせた形でより多くのユーザーに気軽に遊んでもらうための施策として基本プレイ無料に踏み切ったとのことだ。
「時代が流れるなかで進化しているものもあり、楽しみ方も変わってきています。ゲームセンターのゲームは、ガチで対戦したりスコアを突き詰めたりするといったゲーム性のモノが多いのですが、無料なら、とりあえず遊んでみて、もしミスしてもそんなにストレスにはなりませんし、やり直しも気軽にできます。席が空いているときにふらっと遊べる、そんな敷居の低いところから遊んでもらえるゲームがあってもいいんじゃないかと考えました」(西山氏)
メインターゲットは普段ゲームセンターに来ない層だが、それに加えて以前はゲームに熱心で、今はゲームセンターから離れてしまった30~40代前後の社会人ユーザーを呼び戻すことも含まれている。西山氏によれば、ここが“一番アツイ層”だという。
「いわゆるファミコン世代ですよね。実はこの年齢層の方は、ゲームセンターに来店する習慣はあるんです。しかし、学生に比べたら時間がない。そして、ゲームをプレイするなら他のプレイヤーと同程度の装備やカードデッキで遊べないと気がすまないというユーザーもいます。だとすればソーシャルゲームと同じように、課金をすることによってプレイ時間を埋めるような仕組みがあってもいいと思ったんです。ただそうした場合、ユーザーがさらにプレイに対しても料金を払う形にしてしまうと、プレイにもお金を払い、尚且つ時間短縮のためにもお金を払うという“二重課金”に感じてしまうのではないかと。であれば、そこはプレイを基本無料にして、プレイする事自体の意欲を促進させたほうがいいだろうと思いました」(西山氏)
開発は基本プレイ無料の施策、それによって敷居を下げるという意図を踏まえ、広く認知され幅広くアプローチできることからぷよぷよをテーマに採用。さらにスマートフォン版「ぷよぷよ!!クエスト」が開発されていたこともあり、連動することで相乗効果と付加価値が出せる狙いも相まって、ぷよクエACという形になったという。
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