Facebookは同社に対するプライバシー関連の苦情に対処しなければならない、とウィーンの裁判所が判断したことで、Facebookに対する集団代表訴訟が動き始めた。
8月初旬、プライバシー活動家で弁護士のMax Schrems氏が率いるユーザーグループは、Facebookが複数のプライバシー法に違反しているとして、ウィーンの裁判所で同社のアイルランドの子会社を相手取って訴訟を起こした。
苦情には以下のものが含まれる。Facebookのデータ使用ポリシーは欧州連合(EU)の法律に違反している。Facebookはユーザーの有効な同意を得なくてもデータを再利用できるようになっている。ユーザーの許可を得ずにサードパーティーアプリケーションにデータが譲渡されている。
この集団代表訴訟には2万5000人以上が原告として名を連ねており、訴訟の規模が拡大した場合、さらに数万人が原告に加わる登録手続きを済ませている。Europe-v-Facebookとして知られるこのグループは、1人当たり500ユーロの損害賠償金を要求している。
ウィーン地方裁判所は現地時間8月21日、Facebookは4週間以内に苦情に対処しなければならないが、さらに4週間の期限延長を申請することができる、との判断を下した。同社が本訴訟に何の対応もしなかった場合、判事は同社不在で判決を下すことができる。
同グループはアイルランドの裁判所で既にFacebookを相手取って訴訟を起こしており、同国でも同様の訴訟が係争中だ。
Schrems氏は、「われわれの取り組みは最初にアイルランドで大きく前進した。われわれの苦情を受けて、Facebookは世界中でデータを削除し、顔認識機能を無効にしなければならなくなった。しかし、時間が経つにつれて、アイルランド当局が大規模な変化を強制することに全く関心を抱いていないことが明らかになった。訴訟はやがて3年目の終わりを迎えるが、当局は今も『近い将来に』決定を下すとわれわれに約束するだけだ」と述べた。
同グループの取り組みは2011年、アイルランドのデータ保護委員会によるFacebookのプライバシー監査へとつながっている。その結果、同社はプライバシーに関して複数の改善を実施することを余儀なくされた。それには、プライバシーポリシーの簡素化、個人データの使用方法に関するより詳細な情報のユーザーへの提供、顔認識機能についてユーザーに警告すること、広告クリックデータの保持期間を2年に制限することが含まれる。
米CNETはFacebookにコメントを求めたが、本記事公開時点で得られていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したもので す。
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