写真共有サービスを運営する米Pinterestの共同創業者Evan Sharp氏が、Pinterestの新機能についての発表会見にあわせて初来日した。
日本の建築やデザインが好きで、今回の来日では京都にも行く予定だというSharp氏。8月6日に開かれた発表会見前にインタビューに応じ、過去に所属していたFacebookでの経験やPinterestというサービスの役割について、また時事ネタに絡めた質問に答えてくれた。
私がFacebook時代に学んだ最大の教訓は、会社を立ち上げる際の大きなビジョンが、思い上がった、果てしのないビジョンだったとしても、それに向かって一所懸命に努力をすれば必ず実現できるということ。何人かの本当に能力のある人が集まって同じ目標に向かっていけば、必ず成功にたどり着きます。
それはまるで清水の舞台から飛び降りるようなものですが、私にとってFacebookでの経験がなければ、自信をもってPinterestを立ち上げることはできませんでした。
Facebookではグロースチームで働いていました。当時のFacebookは世界的に大成功を収めていて何億人というユーザーを抱える一方で、なぜか日本では何年も苦戦していました。他の会社が日本で成功する中で、Facebookはなかなか上手くいきませんでした。
そこで学んだことは、日本での成功要因をしっかりと分析し、米国で成功したサービスをそのまま移植するのではなくて、日本固有のものを作ること。それが日本での成功の秘訣であると学びました。
もしかしたら、おっしゃる通りかもしれません。私自身の話をすると、Pinterestはアイデンティティのようなものです。つまり、自分自身について広く他人に知ってもらおうとか、不特定多数に情報を発信しようとか、そのためのサービスだとは思っていません。
私にとってのPinterestは、よりパーソナルな一つのツールであって、人生の節目で重要なプロジェクトを計画していくためのものです。「私が興味のあるものはこういうもの」と他人に見せびらかすのではなくて、自分にとっての可能性は何なのかというのを見つけ、それに関係する人にその情報を伝える。つまりSNSではなく、“計画のためのツール”としてPinterestを捉え、実際に使っています。
その問題については、私たちも非常に真剣に考えています。皮肉なのは、まさにそのような問題を解決するためにPinterestを立ち上げたことです。つまり、写真などのコンテンツを誰が最初に作ったのかを特定するため、作者を探していくためのものとして、Pinterestは作られました。
Pinterestには、写真や動画の参照元のページにリンクできる機能があり、それによってソースを知ることができます。今後、できるだけその部分を正確にしていきたいと思います。
写真家をはじめとするクリエーターはPinterestを好んで使ってくれていますが、それはまさに、この機能がもたらしているものです。彼らが作った作品や写真をネット上で見つけた人がPinterestでソースを見つければ、彼らのウェブサイトに行き着く。クリエーターにはウェブサイトのトラフィックが増えるメリットがあり、便利なツールとして使ってもらっています。
ただ、おっしゃるとおり、中にはルールを守ってくれない人もいます。それについては、いくつか対策となるようなテクノロジを開発しています。一つはノーピンコード。ウェブサイトに一番最後にコードを入れることで、そのサイトに掲載されている写真などのコンテンツはピンできなくなる機能です。もう一つは、削除のためのツール。たとえば、もし誰かが許諾無しに自分の写真をPinterstに掲載した場合に削除ができます。
こういったことに力を入れてはいますが、現在は300億以上のピン(画像)があるので、それを逐一確認するのは難しい。このような問題が出てくることは、インターネットが内包している性質によるものと言えるでしょう。
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