新経済サミット2014

快進撃の「Pinterest」と「Yelp」、成功の秘訣は“亀の歩み”でコツコツと

 国内外のテクノロジ界のイノベーターを集めたカンファレンス「新経済サミット2014」が、4月9日から2日間の日程で開催された。4月9日午後に行われたパネルセッション「新しいソーシャルネットワークがもたらすイノベーション――成長を遂げた新鋭起業家が語る成長の秘訣とグローバル戦略」では、Pinterest共同創業者兼CEOのBen Silbermann氏と、Yelp共同創業者兼CEOのJeremy Stoppelman氏が登壇し、それぞれのサービスを紹介するとともに、起業に至った動機やビジネス戦略について語った。

Pinterest共同創業者兼CEOのBen Silbermann氏
Pinterest共同創業者兼CEOのBen Silbermann氏

 Pinterestはユーザーが気に入った写真や動画を、テーマごとに分類された自分の「ボード」に貼り付け、「コレクション」としてユーザー同士で共有するSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)である。2010年に米国で設立され、2013年11月時点でのユーザー数は約5740万人。31の言語に対応している。

 PinterestのコンセプトについてSilbermann氏は、「検索ではなく発見」だと語る。「検索に対する回答は明確だが、その内容は回答者によって異なる。例えば、休日の過ごし方やディナーの献立は、検索しても(自分が欲しい)情報に到達しない。それは、自分だけの答えを見つけられないからだ。Pinterestは『何を求めているのかを(ユーザー同士がお互いのコレクションを参考にすることで)自分で発見するものだ」という。

 自らも蝶やコインなど「コレクションをするのが好きだった」と語るSilbermann氏。Pinterestはコンテンツのコレクション・プラットフォームのような存在で、「興味関心によって、今まで縁がなかったコミュニティとつながることができる。既存のSNSは、1つの情報を友だちとシェアすることがメインだが、Pinterestはコンテンツを整理し、コレクションとしてシェアできる。より多くの人が使えば、コレクションが増えることで、さらに多くの発見がある」と語る。

 日本では2013年11月にサービスを開始した。今後の展開については、企業やメディアなどの公式アカウントを展開し、良質なコレクション/コミュニティの形成に注力していくという。すでにハイファッション誌の「VOGUE JAPAN」と連携し、同社が持つファッション情報をコレクションとして公開するほか、リアルイベントと連動したプロモーションも展開していく予定だという。

Yelp誕生のきっかけは「歯医者でのイヤな経験」

Yelp共同創業者兼CEOのJeremy Stoppelman氏
Yelp共同創業者兼CEOのJeremy Stoppelman氏

 一方、口コミ地域情報サイトのYelpは、2004年7月に米国サンフランシスコで設立された。飲食店やホテル、公共施設、病院などに対する口コミを、メンバーが自由に投稿できる。現在は、米国主要都市やカナダ、欧州、シンガポールなど、世界各地でサービスを展開しており、月間ユニークビジターは1億2000万超を誇る。日本でのサービス開始は2014年4月9日で、世界では26番目となる。

 Yelpの特徴は、オフラインと連動した地域コミュニティの活性化にも注力していることだ。サービス提供地域に「コミュニティマネージャー」と呼ばれる人を配し、Yelp主催のイベントを積極的に行う。こうした取り組みで、Yelpの支持層を拡大する戦略だ。Stoppelman氏は、「都市(サービス提供地域)ごとにその特性を研究/理解し、5~6年のスパンでYelpを定着させていく。(このスパンは)インターネットの世界では『亀のような歩み』だが(笑)」と説明する。

質疑応答形式のセッションでは創業のエピソードなどが披露された
質疑応答形式のセッションでは創業のエピソードなどが披露された

 Yelp設立のきっかけについてStoppelman氏は、「歯医者でイヤな思いをしたことを共有したかったから」だと言い、「口コミサイトは『消費者保護』の観点からも有益だ。コミュニティにとってマイナスな企業を、(情報を共有することで)告発できる。一方、企業は消費者からのフィードバックで、業務/サービスを改善できる」とそのメリットを強調した。

 セッションの後半はThe Grommet共同創業者兼任CEOのJules Pieri氏をモデレーターに迎え、質疑応答形式で行われた。

 日本でのビジネス戦略について聞かれたStoppelman氏は、「(日本市場に参入する前は)日本はユニークな文化を持った国で、成功は難しいと言われていた。例えば、facebookは日本では成功しないと言われていたが、今では大成功している。(SNSを活用するという)土壌が変化してきたと実感している」としたうえで、「他の都市と同様に時間をかけてコミュニティを育て、Yelpの支持層を拡大していく」とした。

(写真左より)The Grommet共同創業者兼任CEOのJules Pieri氏、Ben Silbermann氏、Jeremy Stoppelman氏
(写真左より)The Grommet共同創業者兼任CEOのJules Pieri氏、Ben Silbermann氏、Jeremy Stoppelman氏

 また、Silbermann氏も「Pinterestを運用していく中で、興味関心は国ごとに違いがあると発見した。こうした特性を生かし、成長させていく。ただし、日本で成功するには1年以上かかると考えている」と述べた。

 収益モデルについてSilbermann氏は、「広告収入だが、ユーザーエクスペリエンスを損なわないように配慮している」と語った。Stoppelman氏も、「地域広告モデルを展開するとともに、(表示された店舗の商品を)ワンストップで購入できるプラットフォームとしての可能性もある」とし、その将来性に言及した。

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