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B Dash Camp 2014

印刷、学習塾、弁当--ベンチャーは既存事業を「破壊」できるか

藤井涼 (編集部)2014年07月25日 11時20分
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 スマートフォンの普及や通信インフラの発展によって、ITの利活用は健康や教育、食品といった“生活”領域にも浸透してきている。この波に乗って、大手プレーヤーがすでにビジネスモデルを確立している既存事業へと攻勢をかけるベンチャー企業も増えてきた。

 福岡で7月17~18日に開催されたイベント「B Dash Camp 2014 Summer in Fukuoka」で、ネット印刷サービス「ラクスル」、スマートフォン学習塾「アオイゼミ」、スマートフォンで弁当を注文できる「bento.jp」の各代表者が登壇し、「既存プレーヤーをディスラプト(破壊)できるか?」と題するパネルディスカッションで、各々の戦略や既存事業者への思いを語った。


左から、ラクスルの松本氏、ベントー・ドット・ジェーピーの小林氏、葵の石井氏

大手プレーヤーが抱える「ジレンマ」を逆手にとる

 ラクスルは日本各地の印刷会社をネットワーク化し、印刷機が稼働していない時間に安く借りることで、低価格な印刷のEコマース事業を実現している。また全国1700の印刷会社と組んでいるため、1社では難しい豊富な種類で、かつ高品質な印刷が可能なことも強みだという。

  • ネット印刷サービス「ラクスル」

 ラクスル代表取締役社長の松本恭攝氏は「ECをやっている印刷会社はすでに500社以上ありラクスルは最後発」と話す。その中で同社が競合と考えているのは、プリントパックなどの大手事業者だ。印刷EC業界では、大手数社だけが100億円を超える売上規模に成長しており、その他の印刷会社は収益化に苦戦している現状があると松本氏は説明。

 そこで、ラクスルが既存の印刷会社を巻き込みながら、低価格かつ高品質な印刷物を提供することで、先行する上位1~2社に対抗する“第3の勢力”を目指したいとしている。松本氏は「既存のプレーヤーといい関係を築きながら市場を伸ばせる」と語り、現在600億円規模の印刷EC市場は9000億円規模まで拡大すると予想した。

 では、印刷業界の“巨人”である大日本印刷や凸版印刷の参入の可能性についてはどう考えているのだろうか。この点について松本氏は「もちろん彼らも目をつけている」と認める。しかし、この大手2社は印刷部門だけで7000億円近い売上があり競合もいない。そこからあえて、競争が激しく市場規模も小さい印刷EC領域に参入してしまうと、既存事業の売上を自ら縮小してしまうリスクもあることから足踏みしていると指摘。すぐに脅威になる可能性は低いとの見方を示した。

  • 中学生向けスマートフォン学習塾「アオイゼミ」

 アオイゼミは、中学生向けの学習コンテンツを配信するオンライン学習塾。無料で受講できるライブ授業を毎日配信しており、受講生はリアルタイムで講師に質問したり、出題された問題に解答したりできる。サービスを運営する葵代表取締役の石井貴基氏によれば、1日に数千人が受講しているという。有料会員向けに過去のライブ授業を録画した動画も提供している。

 石井氏は、オンラインで授業を提供することで、講師の負担や教室の不動産料金などを大幅に削減できることから、安価に高品質な授業を実現していると説明。「既存のプレーヤーを一気にひっくり返していきたい」と意気込む。また、大手学習塾のオンラインへの参入については、ラクスルの松本氏と同様に、リアルでの学習塾の単価が下がってしまう可能性があることから「すぐに手が出せない」(石井氏)と見ている。

  • スマートフォンで弁当を注文できる「bento.jp」

 bento.jpは、アプリを起動して「今すぐ注文する」ボタンを押すだけで20分後には指定の場所に弁当を届けてくれるサービス。弁当は日替わりで1種類のみとなっており、買うか買わないかを選ぶだけだ。価格はデリバリー費用込で800円。現在は渋谷区に限定してサービスを提供している。

 ベントー・ドット・ジェーピー代表取締役の小林篤昌氏によれば、忙しく弁当をコンビニなどに買いに行く時間すらないビジネスパーソンなどをターゲットにしているという。「ランチが手段化して『ただ食べられればいい』と思っている人に対して、極論すると一歩も動かなくても食べられる利便性が刺さって使ってもらっている」と語る。

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