スマートフォンのカメラで撮影するだけで、すぐに商品を出品して販売できるフリマアプリ「メルカリ」が7月に1周年を迎えた。5月に実施したテレビCMの効果などもあり、アプリのダウンロード数400万、月間流通金額は10億円を大幅に超え、1日の出品数は10万点を超える規模に成長。米国展開の準備も着々と進んでいる。
米国子会社の設立は、3月末に約14億5000万円の大型調達を発表した際に明らかにした。子会社にはメルカリ取締役である石塚亮氏が赴任している。
メルカリの米国展開はどうなるのか、また1年を振り返ってどのような思いを抱えているのか――フリマアプリ市場全体の話も交え、メルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏に聞いた。
イメージ通りといえばイメージ通りです。まだ米国におけるサービスのリリースには至っていませんが、オフィスを開設するところまでは行けています。当初イメージしていた「1年くらいで米国にいきたい」というラフな計画は、思ったよりも順調に進んでいますね。
メルカリはもともと米国にないモデルで、日本で行けそうだというアイデアから始めたサービスです。日本はスマートフォンの浸透率が高く、定額制で、通信スピードが速いなど他国よりも環境が整っているので、1年前に「今だったら日本で始めて米国に展開するのがいいんじゃないか」と考えました。
日本と米国におけるサービスの作り方の違いを強く感じています。日本では丁寧なガイドが必要で、サービスのわかりにくい部分は懇切丁寧に書いていますが、米国ではFacebookやGoogleのような、余計な文章のない「使っているうちにわかる」というようなシンプルな作りをする傾向があります。
メルカリをFacebookのような、米国でも日本でも同じものが使われている、というグローバルで1つのサービスにしたい。日本でしか通用しないものを作るのではなく、コンセプトをもっと絞って、裏側(技術的に)は難しいことをやっていても、表面上はシンプルな見せ方をしたいです。それがグローバルスタンダードだと思います。
特にスマートフォンだと、「1つのアイコン」で「1つの機能」のような傾向がありますよね。今のメルカリのデザインもかなりシンプルだとは思っていますが、米国の人からは「まだだいぶ日本っぽい」という意見をもらいました。
そこはチャレンジだと思っています。これまで、日本のウェブサービスとして始まり、そのまま米国に浸透して多くの人に使われているものは存在しない。さまざまな会社がやろうとして失敗してきたことなので、僕らも簡単にできるとは思っていませんが、そこは苦労しながらやっていくしかない。
弁護士や税理士など、あわせて20人ほどの専門家に意見を聞き、かなり調べました。米国のオフィスは今年4月にオープンしましたが、それまでにも私と石塚が何度も出張し、リクルーティングに加え、「どういうサービスがいけそうか」「(サービス内容を)変えるとしたらどういうところか」などを色々な人に聞いていました。
全体の印象としては、日本よりも米国のほうが法律は厳しい。やはりお金が関わるサービスなので、物理的に拠点を置いて、規約などを含めてきれいにまとめ、法律上、税務上の問題に引っかからないようにしなければいけません。
一方で、米国のほうが柔軟性が高い面もあります。たとえば、Airbnb(空き部屋のシェアサービス)やUber(オンデマンド配車サービス)は行政などと取り組みを進めています。新しいサービスが出てきたとき、政府としては規制したいが、そういうサービスがある方が多くの人々にとって便利だという場合には、何かしら落としどころを見つけて、法律の方を変えていく。
メルカリに関しても、法律でまだ定まっていないところがある分野だと思うので、そこは同業者などのコンプライアンス担当者と話をし、より良い方向に持っていこうとしています。
ただ、現実的にメルカリ自体がまったく流行らなかったら意味がない。法律上の問題などをクリアするよりも市場に認めてもらうことのほうがハードルが高いので、まずはいいプロダクトを作ります。
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