ここ2年間で、スマートフォンのカメラで服やアクセサリの写真を撮り、そのまま商品として出品できるフリーマーケット(フリマ)アプリが続々と登場し、その勢力を広げている。多くは女性を主要ターゲットに据えているが、中にはまったく異なる切り口でサービスを展開しているものもある。本稿では、フリマアプリ開拓史では語られにくい、それらのサービスにスポットライトを当てよう。
若い女性や“子育てママ”をターゲットにしたフリマアプリが盛り上がる一方で、ターゲットを男性に絞っているのが「bolo(ボロ)」だ。基本利用、会員登録は無料で、販売手数料は売上の10%。ドウゲンザッカーバーグが2013年7月にリリースした。
新着商品、運営によるピックアップ商品がタイムライン式に表示されるほか、欲しい商品をブランド別、シャツやパンツなどのカテゴリ別に検索できる。出品者ごとにストアページも設けられており、ユーザーによる各出品者の評価はプロフィールページで確認できる。
ドウゲンザッカーバーグによると、boloで売れた商品の平均単価は4000円(定価の約3割)。また、ターゲットを絞っているため商品が売れる割合が高く、出品された商品の3つに1つは売れているという。筆者が見たところ、5月2日正午頃の1時間では11アイテムが出品され、その多くが2000円~5000円程度の価格設定だった。なお、商品の出品数は、出品機能が実装されてから約100日となる5月1日までに1万点を達成。5月2日時点でのユーザー数は10万9878人(端末ベース)とのこと。
ちなみに、boloの開発陣は全員男性だ。「全員がboloのヘビーユーザーで、月に5個以上の商品を買い、20個以上の商品を出品することもある」(同社広報)のだそうで、実際にアプリを使うことによってユーザーが商品取引で不安に思うことなどを体感し、サービス開発に活かしているという。
また今後は、成約の確度を高めるため、各ユーザーの好みに合わせたタイムラインを構築していくという。すでに「身長、体型データ」「好きなブランドデータ」「お気に入りした商品データ」などを蓄積しており、それらを解析して各ユーザーに合わせた商品を提案していきたいとしている。
2014年に入ってから、アニメや漫画、ゲームとその関連グッズなどに特化したフリマアプリが2つ登場した。セブンバイツが1月にリリースした「A2mato(アニマート)」がその1つだ。同社によると、4月末時点での累積出品数は約3万点で、数万単位のユーザー(具体的数値は非公開)が利用しているという。
自分の趣味に合う商品を出品するユーザーをフォローしたり、商品についてメッセージのやりとりをするといった機能を備える。運営側では、目視によるチェックで海賊版が出品されないようにしているという。また、購入者に商品が届いた後に出品者に入金する仕組みを導入しているほか、ユーザー登録時に年齢を入力させることで、商品の種類によって年齢制限をかけるなどして安全性を高めているそうだ。
出品料は無料で、売買成約時に購入者と出品者ともに商品価格の5.25%の手数料がかかる。なお、公式キャラクターとして「七海(ななみ)あかり」がおり、アプリのアイコンなどに描かれている。
もう一方は、jig.jpが3月にリリースした「otamart(オタマート)」。ターゲット層はA2matoと同様で、出品されている商品やサービスの仕組みも似ている。なお異なる点として、販売手数料が売上の10%となっている。
同社によると、5月2日時点での累積出品点数は約1万5000点、登録ユーザー数は約7000人だという。
A2matoと同じ点がもう一つ。otamartにも公式キャラクターがいる。アプリのアイコンに描かれたキャラクターで、名前は「小田まこ」。デザインは「レンタルマギカ」や「スカーレッドライダーゼクス」、「UN-GO」などのキャラクターデザインを担当するイラストレーターpako氏が手がけたそうだ。
最後に紹介するのは、ニッチなフリマアプリ「sellbuy(セルバイ)」だ。出品できるアイテムは主に「釣具」で、釣り好きのためのサービスとして利用されている。販売手数料は10%。ガプスモバイルが2013年9月に提供を開始したサービスが、その後スマートフォンアプリとしてリリースされた。
ロッド、ルアー、ボート用品などのカテゴリや、ブラックバス、エギング、トラウトなどの魚種から商品を検索できる。また出品時には、「シーバスミノー120mm以上10個セット」などこだわりのある商品を販売できる。釣行イベントなどのチケットも販売可能だ。
なお、筆者のスマートフォン(iPhone 5/iOS 7.1.1/au LTE3本)でアプリを使った場合、動作が少し遅いように感じた。PCサイトは見やすく作られているので、アプリのアップデートがあるまではそちらを利用したほうがよさそうだ。
フリマアプリ市場の競争激化にともない、今後、これら4つのようなニッチな領域を狙うサービスはますます増えるとみられる。潜在的なニーズの見極められれば、新たな可能性が生まれてきそうだ。
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