メルカリの米国展開はどうなるか、国内フリマアプリ市場のこれからは--山田氏に聞く - (page 2)

井指啓吾 (編集部)2014年07月23日 08時00分

 市場自体は拡大すると思っています。これまで、ヤフオク!がとても大きくて、それに対抗するために各社が華々しく散ってきたという歴史があります(笑)。しかし実は、ヤフオク!をやっている人たちはピラミッドのてっぺんの層で、今は「難しそう」などさまざまな障害があってネットオークションなどをやってこなかった層が膨大に広がっているように感じます。

 そこをいかに取っていくか、というのが今の市場環境。市場が今まさに作られているタイミングでもあり、それはソーシャルゲームが伸びていたときのような感じで、天井なくすごい勢いで伸びている印象です。その中でも強いサービスはさらに強くなっていくと思うので、僕らとしてはナンバーワンのポジションをキープしつつ、市場の伸びと同じように伸びていければいいかなと思っています。

――フリマアプリとヤフオク!のユーザー層は違うんですね。

 メルカリではユーザーの出品数が確認できるようになっています。それを見ると、100品を超える人がいる一方で、10~20品程度の人も多くいる。おそらく、そのほとんどが初めてこのようなサービスを利用する人です。なので、メルカリがヤフオク!からユーザーを奪っているという感覚はないですね。

――他のフリマサービスとの競争は。

 ここ約1年で20~30ほどのフリマサービスが出てきていますが、外から見た人が思うほど、競争環境は激しくない。外から見えるものと、中から見えるものは違うかなと思う。そのような状態で新規参入も止まりつつあるので、それはそれでいいかなと思っています(笑)。

――1つの分野に特化したニッチなフリマサービスも登場しています。今ならどの分野が狙い目でしょうか。

 僕らが扱っていない“チケット”は盛り上がっている印象を受けます。また、クルマや不動産など、メルカリのシステムではやりとりしにくいものもあると思いますが、そういう分野も市場としてはあると思う。いろいろ可能性はありますね。

――メルカリはC2Cですが、C2B2Cのモデルで展開しているサービスもあります。

 C2B2Cもある程度の規模感まではいくと思います。ただ、インターネットのサービスとして見た時に、若干スケールしにくいと思う。消費者の間に会社という物理的なキャパシティがあるものが入ってくると、マーケットとして見たときに、てっぺんが見えてしまうように感じます。

 米国ではうまくやっているサービスもありますが、それもそこまでスケールしているようには見えません。C2B2Cモデルは着実に儲かるビジネスだとは思いますが、インターネットビジネス、いわゆるマーケットプレイス、コミュニティなどの伸び方にはならないのではないでしょうか。やはり、C2Cに比べてネットワーク効果が薄いかなと思います。

 C2Cは、究極的に「インターネットっぽいサービス」だと思っています。個人が何かを発信したり、その中で行動を起こしたりできるのが、インターネットビジネスと他のビジネスとの本質的な違いです。消費者の間になにかが入ってしまうことによって限界が出てくる。何も入らないからこそ、ネットワーク効果が得られるのではないかと思います。

――カスタマーサポートに力を入れているとお聞きしました。

 人数だけではなく、いかに早く返信するかなどのクオリティも含めて、かなり力を入れている部分です。メルカリは個人間の取引なので、ここが肝になると思います。たとえば、自分の出品物に変なコメントが付いただけでもユーザーは嫌な気持ちになる。そういうことに素早く対応していくことで、ユーザーに安心感を与えることができ、いずれその安心感がコミュニティ全体で醸成する。

 メルカリはコマースなので、長く使ってもらいたい。その初期段階である今、対応の遅さなどで不信感を持たれてしまうとよくない。「メルカリはカスタマーサポートがすごい」というイメージが定着する状態まで持っていけるように努力をしています。

 サポート対応時間も24時間にできるよう準備を進めているところです。年内には形にできるのではないかと思います。


メルカリの受付前にて。メルカリのシールが控え目に貼られていた

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