ReSound LiNXの価格は片耳49万円で、両耳で83万3000円。福祉用具のため消費税は非課税となる。ほとんど自宅など静かな環境で過ごす人であれば15万円程度の補聴器でも問題はないが、騒音下で支障なく会話をするためには、先ほど述べたような音声処理技術が求められるため、どうしても高額になってしまうという。それでも2月から販売されている欧州では「ものすごい勢いで出荷されている」(池田氏)そうだ。日本では、全国の補聴器専門店や眼鏡店で買うことができ、ウェブでの販売はしていない。2年間の紛失・破損保証は受けられる。
同社では初年度で3000台の販売を目指す。日本では1億2700万人の人口のうち1400万人、つまり約1割が推定難聴者と言われている。少子高齢化によってこの数はさらに拡大することが予想されるため、ReSound LiNXの需要増にも期待する。「これまでの補聴器は目立つ、ダサいといったイメージがあったかもしれないが、見た目もオシャレでiPhoneとも連動する。アクティブシニア層には需要があると思っている」(池田氏)。
また、米国などでは約8割の補聴器利用者が両耳につけているが、日本では約2割しかつけていない現状があるという。池田氏は「価格は欧米とほとんど変わらないが、日本では片耳しか購入しない方が多い。程度にもよるがやはり両耳で使っていただいた方が、しっかり音を聞き分けられる」と語り、日本でも両耳での使用を啓蒙していきたいとした。
ReSound LiNXでは基本的に、iPhoneから音が出るアプリやサービス、機能は全て聞くことができる。そのため今後は、翻訳アプリなどの精度が向上すれば、補聴器をつけて英語で自然な会話などもできるようになるかもしれないという。また、将来的には新たなウェアラブル機器の提供やサードパーティとの共同開発も検討してしきたいとしている。現在はiOS端末のみだが、Android端末でもグローバルモデルを中心に対応する予定だ。
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