アップルと共同開発した世界初の「スマート補聴器」--ジーエヌリサウンドのこだわり

藤井涼 (編集部)2014年07月09日 10時30分
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 ヘッドホンやウェアラブル端末など、スマートフォンと連動して管理できる機器は増え続けているが、この流れは高齢者や障がい者などハンディを持つ人のための“アクセシビリティ製品”の領域にも広がってきている。

  • ジーエヌリサウンド ジャパンの池田氏(右)と小川氏(左)

 デンマークの補聴器メーカーであるジーエヌリサウンドは、世界で初めてスマートフォンで管理できる補聴器「ReSound LiNX(リサウンド リンクス)」を5月22日に日本で発売した。

 耳掛けタイプの小型デジタル補聴器で、価格は片耳で49万円。決して安くはないが、それはこの製品が日頃から外出することの多い50~60代のアクティブシニア層をターゲットにしており、小型でありながら通常の補聴器と比べて、高い性能や機能を備えているためだと、ジーエヌリサウンド ジャパン マーケティング部 部長の池田慶弘氏はいう。

アップルと共同開発--ひと味違う音声処理技術

 ReSound LiNXは、ジーエヌリサウンドがアップルと共同で開発した製品。通常の補聴器の機能に加えて、Bluetooth接続したiPhoneでの通話や音楽再生、iPadでのビデオ視聴などを、まるで自分専用に調整されたワイヤレスイヤホンを使っているような感覚で利用できる。同社の製品は2.4GHzのワイヤレス技術を採用しており、アップル製品との相性の良さがパートナーに選ばれた理由の1つだという。

 特にこだわっているのが、外出時でも聞き分けられる高い音声処理技術だ。たとえば、前方の音を増幅しながら後方の雑音を低減し、多くの人が集まった状況での会話も理解できる両耳連動指向性を備える。後方からの呼びかけに気づいて反応することも可能だ。移動中に自分がいる場所に応じて自動的に音量を調節する環境適応システムIIなども備える。

  • スマート補聴器「ReSound LiNX」

 また、帽子をかぶったりすると、ピーピーという不快なハウリング音が出ることがある。この際に、多くの補聴器はハウリングを抑えるために音量を下げるが、同時に聞きたい音まで一緒に聞こえなくしてしまうという。しかし、ReSound LiNXではハウリングを抑えながら、聞き取るべき音の音量は保ってくれるハウリング抑制機能も搭載しているそうだ。

 専用アプリでは、ボリュームやプログラムの変更、高音・低音など、自身で聞こえやすさを微調整できる。競技場やレストランなど、よく行く場所に補聴器の設定を登録すれば、次にその場所に行った時に補聴器は設定した状態に切り替わる。GPSを搭載しており、もし外出先で補聴器を落としてもスマートフォンから場所を特定することが可能だ。

 アップルと共同開発しているだけあって、デザインにも並々ならぬこだわりがある。補聴器利用者の多くが「他人から見える」ことを気にしているが、ReSound LiNXは、小型の本体を耳の後ろにかけ、音を出すレシーバ部分を耳穴に入れるタイプを採用。そのため装用感がよく目立たない。カラーもミディアムブロンドやダークグレーなど一般的な色から、モンツァレッドやオーシャンブルーなどカラフルな色まで10種類を用意した。

  • 「ReSound LiNX」を装着した状態

  • 10種類のカラーを用意した

  • 特殊な撥水技術(写真左)を採用することで、汗による故障が激減した

 また長い間、補聴器メーカーの悩みの種となっていたのは、汗が侵入することや湿気による故障だ。補聴器では安全性や寿命の長さなどの理由から、空気中の酸素に触れて発電する「空気電池」を使っており、通常の撥水加工では空気が遮断されてしまい発電できないという問題を抱えていた。そこで同社では英国政府関係の研究機関で開発された特殊な撥水技術を採用。これにより、汗や湿気による故障を防ぎながら発電を可能にした。「2010年から全製品に適用しており、夏場の修理依頼は約8割減った」(池田氏)。

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