7月3日に都内で開催された「楽天 EXPO 2014」で、楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏が講演し、インターネットの今後に対する思いを語った。
6月末に開催されたGoogleの開発者会議「Google I/O 2014」。そこでは、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイス、Android TV、ナビゲーションや音楽ストリーミングのための車載コネクテッドシステムなど「インターネットにつながっている新しいかたちのデバイス」(三木谷氏)が多く披露された。
IoTが発展すると、これまでになかったようなサービスが生まれてくるという。なぜそのようなことが起こるのか。三木谷氏は「あらゆるものが再定義される時代がきている」と説明。その例として、C2Cの宿泊マッチングサービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」、オンデマンド配車サービス「Uber」などを挙げる。
「再定義によって何が起こっているかというと、今までなかったようなサービスが使えるだけではなくて、そのサービスの品質が“より良いステージ”にまで到達している。つまり、『インターネットでとても便利になった』という今までの状況から、『インターネットでしかできないサービス』あるいは『リアルの体験を上回るサービス』が次々に出現している」(三木谷氏)。
“通話”も次のステージに移ろうとしている。楽天は2月に無料通話・メッセージアプリ「Viber」を買収した。「『楽天はスマートフォン事業をやらないのか』とよく聞かれるが、我々はすでにやっている。世界で約4億人がViberを使ってコミュニケーションをとっている」「電話に必要な機能は、つながる、通話ができる、そして電話番号というIDがあること。しかし、Viberなどの登場により3つ目の電話番号はもう不要で、電話会社は必要なのかという状況だ」(三木谷氏)。
三木谷氏はこのほか、通貨や教育、医療などに触れ、「インターネットは新しい時代に突入していくと考えている。考えているというよりも、確信していると言ったほうが正しいかもしれない」と締めくくった。
7月1日、格安航空会社(LCC)のエアアジアが日本で設立するエアアジア・ジャパン(資本金70億円の予定)に18%の出資をすることを発表した楽天。世界におけるLCC市場は、東南アジアが52%、西欧が39%、北米が30%のシェアを持つ。これに対し日本では、2012年時点でのシェアが“2001年時点での東南アジア”と同じ3%しかなく、「これから急速に成長していくと思っている」(三木谷氏)。
価格帯については、キャンペーン価格として、東京・羽田など~マレーシア・クアラルンプール間を最低8900円で提供。三木谷氏は、キャンペーン終了後にも「おそらく2万円を下回る価格になるだろう」とその安さを強調した。
三木谷氏はLCC事業との関連として、「これから、インターネットはすべてのモノにつながっていく」と、Internet of Things(IoT:モノのインターネット)に触れた。「エアアジアはいま、年間約5000万人が利用している。将来的には1億人、2億人と利用者が増えていくであろう旅客ビジネスに参加することで、インターネットを使ったさまざまな仕組みを作れると思っている」(三木谷氏)。
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