シャープは6月30日、電子コンテンツストアサービス「GALAPAGOS STORE」で専用のアプリケーションを使わずに汎用のウェブブラウザだけで電子書籍が閲覧できる「試し読み」を開始したと発表した。
従来、電子書籍を閲覧するには、タブレットやスマートフォンなどの端末に専用のアプリをダウンロードする必要があった。今回のサービスにより、今後は汎用のウェブブラウザで電子書籍の検索・購入から閲覧までが可能になる見通し。
WindowsではInternet Explorer 9.0以上、Firefox、Google Chromeの3種類に対応。MacではSafari、Firefox、Google Chrome、iOSではSafariとGoogle Chromeだ。さらにAndroidでは、端末搭載標準ブラウザとGoogle Chromeに対応する。まずは、一部の電子書籍で試し読みを開始し、順次電子書籍の閲覧にまで対応していく。試し読みの会員登録は不要だ。
シャープによれば、試し読みができるものとできないものを比べると、売上げ比率は異なるという。「試し読みができると1.6倍売上げが伸び、会員登録率も1.2倍上がる。試し読みを大きく増やしていって、売上げと会員登録率を上げたい」(シャープ デジタル情報家電事業本部 モバイルソリューション事業部 チーフ 松本融氏)。
このほか、新たなユーザーインターフェースを導入し、書籍やコミック、雑誌など複数のコンテンツの中から読みたいコンテンツの表紙を選べば、すぐにコンテンツの内容が表示されるようにした。書店の本棚から次々と手に取る感覚で、手軽にコンテンツを楽しめるのが特長だ。
GALAPAGOS STOREでは、ブラウザビューアの特長を手軽に体験できる「特集コーナー」を新設し、合計243冊の無料読み放題および試し読み増量キャンペーン、購入金額の30%をポイント還元するキャンペーンを実施する。
専用アプリなしで閲覧できるこのサービスは、HTML5を活用したシャープのソリューション「ブラウザビューア」により実現したもの。
シャープは、個人向けの自社サービスに加え、電子書籍事業者にシステムを販売するソリューション事業も大きな柱としている。ブラウザビューアは、3月から電子書店運営事業者の要望に応じてカスタマイズしソフトウェアパッケージとして提供開始した。しかし、もっと手軽にブラウザビューアを導入したいとの要望があることから、従来のパッケージ販売に加え、新たにASP型サービス「EBLIEVA(エブリーバ)ブラウザビューアASP」を追加することにしたという。
EBLIEVA ブラウザビューアASPは、シャープのコンテンツ配信サーバをネットワーク経由で利用できるようにすることで、運営事業者は独自にサーバを所有する必要がなく、導入に必要な初期投資を抑えられるのが特長だ。価格は規模に応じて相談という。主にパッケージ版は自社サーバを持つ大規模な事業者向け、ASP型は小規模にコンテンツ事業を展開する企業に向けて販売する方針だ。
シャープの大きな強みは日本語レイアウト技術だ。これまで100社以上から300以上の検証用ファイルを使い、ルビや挿絵のレイアウト、外字の表示品質など、多くの指摘を出版社から受けながら品質向上に取り組んできた。
今後は、さらに発展させ、電子化+さまざまなウェブサービスとの連携を強化する。EC機能やコミュニケーション機能、ユーザー分析機能を付加していく方針で、たとえば、書籍の学習コンテンツから動画コンテンツへリンクさせ、理解を深めるといったことも可能になる。
なお、従来からのブラウザビューアに加え、今後法人向けの電子書籍ソリューションの統一ブランドを「EBLIEVA」とし、幅広く提案していくとした。
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