では、会社員をやめて起業することはどうだろうか。椿氏は、終身雇用制という概念が、この10年くらいで次第になくなってきているのではと指摘。従来は就職、退職、転職、といった選択肢だったが、「起業」という選択肢も選ばれ始め、いまや会社員から起業したいと考えている人は増えてきているという。
「特に女性の起業が増えてきており、政府も女性が活躍できる場を作ろうとしている。また、創業支援の取り組みも活発化してきている。キャリアの選択肢として、起業が一般化しつつあるかもしれない」(椿氏)。
Paul氏は、日本の現在のスタートアップブームを実感しており、「8年前に日本いた時は、起業したい人がいても、周りは応援しづらい環境で、起業するのはおかしい人、といったイメージだった。今は、経済全体がスタートアップを支援しようとしている」と語る。
古川氏は、大学卒業後にリクルートに入社し、その後2009年に独立。会社員と起業の両方を経験できたことで仕事の幅が広がったと同時に、組織の理論が理解できたという。
「社内で企画を通すためには、事業やプロジェクトが成功すると説明するためのロジックが必要で、その時点でロジックが通りやすい企画にならざるをえない。えてして、そういう企画は失敗することが多い。資料を出さずに勝手にやってしまった企画をリリースしたら、それなりに成功した。自分でやってしまうほうが楽しいし、覚悟をもってやれると思ったから独立した」(古川氏)。
20~30年前に起業していた人は、飛び抜けて優秀だったり変だったりする人が多かったが、最近は普通の人も起業するようになったと古川氏は語る。周囲の環境も起業することが当たり前になりつつあり、起業を応援することに対してポジティブな文化ができてきているという。それらを踏まえて、「起業はタイミング。学生起業でも会社員起業でも、自分がやりたいと思う時にやるといい」と語った。
学生起業の飯田氏は、親からは起業に対して猛烈に反対されたと語る。東京大学に在学していたこともあり、周囲の東大生も多くが就職していたため起業は珍しく、就活することで大手企業への道があるのになぜ起業するのか、と言われ続けたという。
「2008年当時はまだ起業家は少なく、ミクシィの笠原氏や堀江貴文氏らもいたが、あまり身近な存在ではなかった。だからこそ、起業は不退転の覚悟で自分はこういう世の中にしていきたいと説明し続けた。資金調達するなど、会社がそれなりに成長してきたこともあり、次第に親も納得してくれて、今では応援してくれている」(飯田氏)。
社会全体における起業文化が醸成されてきたことは大きいとし、起業すること自体のハードルが下がってる今だからこそ、挑戦したい人、何か新しいことをやりたいと考えている人にとってはいいタイミングなのでないか、と登壇者たちは語った。
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