「宇宙はもうすぐそこ」と語るのは、World View Enterprisesの共同創業者 兼 CEOのJane Poynter氏だ。同社は気球を利用した宇宙旅行を2016年に実現すると約束しており、すでに7万5000ドルのチケットの事前販売を開始している。
6月初め、米Dellがテキサス州オースティンで開催した女性起業家向けイベント「Dell Women's Entrepreneur Network(DWEN)」にスピーカーとして登場したPoynter氏に話を聞いた。
現在、これまでにない数の宇宙船が開発されています。少し前まで、”宇宙”というと”政府”を考えていました。たとえば、私はいつも火星に行きたいと思っていましたが、人類を火星に運ぶのは政府だと思っていたのです。ところが、状況が変わってきました。現在、宇宙開発は民間企業がリードしているといっても過言ではないでしょう。これはSpace Xなどの功績が大きいと思います。
このように数年前には想像できなかったほど民間による宇宙分野が活発になっており、我々はこの一部でありたいと思っています。
我々は気球を利用して乗客を乗せたカプセルを地球に近い宇宙空間に連れて行きます。1時間半ほどで高度30kmまで行き、約2時間滞在します。その後下降をします。合計で約4~5時間のフライトになります。
現在、乗客が乗るカプセルが2基あり、気球は多数あります。2016年に開始する予定で、カプセル2基で始めます。現在厳重なテストを重ねている段階です。テストでは安全性はもちろん、快適な旅を実現できるか、どのような体験になるのかにフォーカスしています。目標としては飛行機の感覚で宇宙に連れて行くことです。
World Viewでは1回のフライトで、2人のクルーが6人の乗客をのせることができます。販売数は公開していませんが、複数回のフライトがすでに予約で埋まっています。
米国や欧州に限らず、世界中から購入申し込みがありました。アジアからも申し込みを受け付けました。必ずしも富裕層に限定されていません。
長期的には下がると思いますが、だいぶ先になるでしょう。
1991年から1993年まで、Biosphere 2プロジェクトに参加しました。このプロジェクトは他の惑星で自給自足で人々が生活できるかを試すもので、アリゾナに巨大な密室空間を構築して生態系を構築するという試みです。密室の中での生活は過酷でしたが、人生で最もエキサイティングな体験となりました。Biosphere2は地上で行われたプロジェクトですが、宇宙飛行士が地球を感じるような瞬間を経験しました。我々はすべて同じ地球上に住んでいるのだと実感する瞬間です。宇宙飛行士は外から地球をみますが、我々は地球の中から感じました。
Biosphere 2の後に、国際宇宙ステーションをはじめとした宇宙飛行に環境制御ハードウェアを開発するParagon Space Developmentを創業しました。World ViewはParagonでの経験を経てのプロジェクトとなり、World ViewはBiosphere 2の参加者、それに外部のエンジニア2人が集まって創業しました。Paragonの技術も利用しています。現在、本拠地のアリゾナに技術チームを持ち、ラスベガスに営業チームがあります。
私の意見では、10年後宇宙は日常になっていると思います。つまり、宇宙はなにか特別な非日常のことではなく、商業活動や研究、余暇などの目的で多くの人が行く場所という感覚です。
宇宙に連れて行く、これは技術的には可能です。検証され、すでに利用されている技術があります。World Viewには、NASAで宇宙科学プログラムを統括したAlan Sternや元NASAの宇宙飛行士などがおり、これらの技術をシームレスに組み合わせるすばらしい技術チームがあります。これは幸運なことだと思います。財務的には、2016年に商用フライトが始まったら黒字化になる見込みです。
宇宙という場所に人を連れて行こうという点で同じですが、各社の経験は異なります。Virgin Galacticはポイントからポイントの宇宙旅行で、XCORも同様です。World Viewの体験はゆっくりと時間をかけて宇宙の眺めを楽しめることがポイントになります。我々やVirginなど、最初の企業から実績が出てくると、宇宙旅行の人気も高まってくるでしょう。そういう意味で、(Virgin Galacticなどとは)宇宙分野を一緒に成長させる、盛り上げていく仲間であると考えています。
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