そこがhueの面白いところで、これを照明器具と捉えるか、インターネットにつながるガジェットと捉えるかなのです。Apple Storeに関して言えば完全にガジェットと捉えていて、そこから考えられるユーザーターゲットは30代のITに強い男性です。
欧米ではもう1つ、30~40代のファミリー層もターゲットユーザーにいますが、日本では30代男性しか捉えられていません。その辺りは照明文化の違いだと感じています。
今回、ITリテラシーの高い人にスポットをあて、そうした人たちが手にとりやすい場所を販売チャネルとしたことは成功しましたが、結果男性向けの商品になってしまったという思いはあります。
ある意味それは成功例だと思いますが、やはり一般の家庭にも使ってもらいたい。それを実現するにはhueだけでは難しいので、Friends of hueの導入は、そうした面も補えるものだと考えています。
残念ながらhueに関しては30~40代をターゲットとしていて、それ以外は狙っていません。そうした思いはパッケージにも表れていて、いわゆる取扱説明書は同梱しておらず、小さなリーフのみを付属しています。一般的な照明器具はあらゆる世代に使われる商品ですから、幅広い層を狙えば、売上は大きくなる可能性があります。しかし費用も大きくなります。もちろん取扱説明書も必要になりますし、セーフティハザードも付けないといけない。そうしていくとインターネットにつながって、スマートフォンから操作できるというhueで一番やりたかったことが見えづらくなります。
そうなるくらいであれば、ターゲットをセグメントして販売した方が良いというのがhueの戦略です。実際ターゲット絞り込んだことで、hueの製品特長は際立ちました。全部の層を狙うより、届けたい層に届けることを重視しています。
日本でも引き合いは大変多いのですが、実はBtoB向けには基本的に展開していません。ただコンシューマ向けのパッケージを購入されて、カフェやホテルなどに取り付けてくださる方がいらっしゃいます。そのため結果的にBtoBで販売が伸びているとみられることがあります。
ここまでBtoBの需要が高まれば、それ専用のパッケージを作るのが常だと思いますが、hueではそういった販売はやっていません。BtoBへの個別対応をすると、一見販売が増加するように見えますが、結果的にコストが上がってしまう可能性があることや、一般消費者の皆様に快適な住空間をお届けするという本来の目的が変わってしまうこと、またhueの製品パッケージに代表されるようなブランドエクスペリエンスが変わってしまうことから、お客様にご理解いただきながら、やるべきこと、やれないことを見極めて取り組んでいます。
この2つの商品で終わりにするつもりはなくて、コネクティビティと呼んでいる製品群を広く導入していきたいです。これは照明だけではなく、空調やHEMSというような分野の企業との協業が重要と考えています。
現在はホームというミニスケール版ですが、hueを利用すればオフィスや街灯も約1700万色に変化できますし、遠隔操作も可能になります。そうした広い範囲での使用も視野に入れていきたいですね。
日本の照明器具はスペック競争が主体になっているように感じますが、それよりも照明の楽しい部分をアピールしていきたいです。
また、健康面でのサポートを照明器具からやっていきたいですね。心理的な効果や目覚めやすい照明など、色と光は人間の健康に与える影響が大きいですから。近い将来はそういった取り組みもお届けできると思います。
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