では、事業者側に求められる“センス”とはいったいどのようなものだろうか。自ら考えるセンスについて、各パネリストからは次のような意見が挙がった。
「今まではお店にいる気の利く店員さんがやっていたようなことをなるべく機械にやらせようというのが今の流れ。でも何でもかんでも機械的にやればいいかというとそれも難しい。例えば妊娠といったセンシティブな情報を勝手に機械が解析し、勝手にクーポンを送りつけてしまった例があるように、機械のアルゴリズムによるレコメンドをすべてやってはいけない。もう少し考えてやらなければ消費者の信頼は得られない」(野村総合研究所 城田氏)
「顧客にとっていいサービスになることを第一に考えてサプライヤー側が提供するべき。いいビジネスがあるからというだけでは受け入れられないこともある。技術だけに指向を傾けるのではなく、ウェアラブルは同時に身につけるものでもある。例えば若い女性がウェアラブルを使うとしたら?といった発想でモノづくりをする必要がある。技術偏重の考え方では難しいのではないか」(リクルートテクノロジーズ 米谷氏)
「今のウェアラブルを本当に身につけ続けたい人はいるのだろうか。インプットとアウトプットのバランスの悪いものしか目にしていないので、まだまだ改善の余地があると思っている」(ABBALab 小笠原氏)
つまりIoTの場合にも、最終的には顧客主義を念頭に置かなければ、ビジネスとして失敗するというのが各パネリストに共通した見解だ。
また、今後IoTが普及していく上で、インフラ面での急務な懸念事項を指摘したのは、マイクロソフトの田丸氏だ。「自動販売機とか社会インフラ含めていろいろなところで使われてきているIoTだが、ネットワークでつなげていくにあたっての大きな課題はやはり電波。日本はこうした法制度の動きが遅い。帯域がどんどん足りなくなってきていて混線もさらにひどくなっていくだろう」と述べ、政府機関への早急な対応を求めた。
最後にパネルディスカッション全体を総括し、CNET Japan編集長の別井は「今までネットワークと無縁だったものがつながっていくことは大きなビジネスチャンス。オンラインもオフラインも手掛けていかなければならない。今までになかったサービスがこれから生まれていくと思って期待している」と語り、セッションを締めくくった。
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