「Samsung Z」について3つだけ重要なことを挙げるとすれば、次の3点だろう。1) サムスンが開発に参加しているOS「Tizen」を搭載した、同社初のスマートフォン、2) 2014年第3四半期にロシアで発売、3) 予想以上にサムスンの主力「Android」スマートフォン「GALAXY S5」に似ている。
サンフランシスコで開催されたTizen Developer Conferenceでデモが行われたこのサムスンのデバイスに関してもっとも重要なのは、OSとインターフェースだろう。Android版と同様、複数のホーム画面、アプリトレイ、通知タブ、ウィジェットが用意されている。あらゆる点で、Androidとは少し違って見える。
サムスンは一種の画面分割モードを採用している。ウィジェットが置けるホーム画面の上のブロックは、スワイプで切り替えられるようになっており、下側のブロックには丸いアイコンが配置されている。これらのアイコン(電話、メッセンジャー、ブラウザなど)をタップすればアプリが起動するし、この部分を上にスライドさせれば、アプリトレイが現れる。
Android(や他のOS)と同様、画面上端から下にスワイプすれば、通知と、Wi-Fi、Bluetooth、省電力モードなどのシステム設定が表示される。物理ボタンを長押しすれば、最近使用したアプリのタブを表示させることができ、これをスライドさせれば消える。これも見覚えがあるのではないだろうか。Tizenではホーム画面を長押し(またはメニューボタンをタップ)すれば、「ダイナミックボックス」と呼ばれる壁紙変更やウィジェット追加を行うことができるオプションを呼び出せる。
Samsung Zのロック画面のレイアウトは、ライバルであると同時に姉妹機種でもあるAndroidのGALAXY S5にうり二つで、見た目や場所も同じカメラアイコン、ほとんど同じ設定メニュー、カメラモジュールを備えている。カメラには、「Beauty Face」、前面と背面のカメラを同時に使って撮影する「Dual Camera」、「Panorama」、HDRなどのフィルタが用意されている。設定メニューにしても、カメラアプリにしても、GALAXY S5の機能をすべて持っているわけではないが、主な機能や使い勝手は同じだと言っていいだろう。
サムスンはAndroidのGALAXY S5にあった大量の機能をTizenベースのSamsung Zにも移植している。安全サポート機能、ウルトラ省電力モード、指紋スキャナといった機能はすべてある。また、Private Mode(プライベートモード)、シンプルなスタート画面モード、ブロックモード、Wi-Fiとデータ通信ネットワークを両方利用する「Download Booster」、画面分割によるマルチタスクなどの機能もある。
さらに、「S Health」「S Voice」「S Translator」、テレビを操作できる「WatchON」リモコンなどの、サムスンのスマートフォンにいつも搭載されている多くのアプリも用意されている。カラーテーマが追加されたことで、視覚的な機能が増えたが、この機能もGALAXYシリーズに取り込まれる可能性は高い。
とはいえ、Google検索アプリやTwitterアプリ、および前述のサムスンアプリはSamsung Zにあったものの、このロシア向けモデルに入っていたのはほぼそれだけだった。「Tizen Store」には有料アプリや無料アプリが並んでいるが、上位のアプリには、少なくとも今はまだ、有名なアプリはなかった。
サムスンがTizenを「Windows Phone」や「iOS」ではなくAndroidに似せて作ったことは、2つのことを物語っている。第1に、サムスンが「TouchWiz」インターフェースをブランドの顔にしたことはうまくいっているように見えること、そして第2に、OSそのものはファンが考えているよりもあまり重要ではない可能性があることだ。
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