ブラジルのカンポマイオルでは、同国の地方にあるほかの小さな町と同様、インターネットにアクセスする手段が皆無に近い。地元の住民は、モバイル用の無線信号をキャッチしようとあたりを動き回り、木に登ることさえある。住民が夜間にインターネットにアクセスできる場所を探す様子は、現地語で「Vaga-lume」、すなわち「蛍」と呼ばれている。町のいたるところで携帯電話の灯りが、小さな蛍のように見えるからだ。
だが、ほんの数週間前から、カンポマイオルにも初めて、地元の小学校の教室に空から直接インターネットが提供されるようになった。すぐに利用できるこのウェブアクセスを提供したのは、Googleが高高度に打ち上げた複数のWi-Fi気球のうちの1つだ。
Googleは2013年6月、インターネットアクセスを世界中のいたるところに提供することを目的として、「Project Loon」を正式に発表した。それから1年を経て、同プロジェクトは現在、数多くの問題を解消し、気球の強度を高めるとともに、フィールドテスト地をカンポマイオルのような場所へと拡大した。
Googleは、カンポマイオルでの自社の取り組みについて、Project Loonの「Google+」ページで次のように記している。「今回のテスト飛行は、Project Loonでいくつかの重要な『初記録』を達成した。赤道付近に(気球を)放つことによって、変化の激しい温度分布、結露するほど高い湿度、それにサソリといった問題点を克服することを教えられた。われわれは、LTE技術のテストも初めて実施した。これで、インターネットの信号を携帯電話に直接送信することが可能になり、インターネットアクセスをより多くの場所に届ける際の選択肢が広がる可能性がある」
GoogleがニュージーランドでProject Loon気球の最初のテスト飛行を開始したのは、2013年のことだ。このとき同社が取り組んだのは、気球を数日間上空に留まらせ、インターネットアクセスを地上に設置した特殊なアンテナと受信用機器を介して、3Gネットワークと同等の速度で提供することだった。
現在、これらの気球のうち、「Ibis-167」はこれまでに地球上を22日間周回する記録を達成しており、ほかにも100日以上滞空できるよう設計されている気球もある。さらに、Googleが記しているとおり、同社は高速の4G LTE接続にも取り組んでいる。これはつまり、ユーザーが携帯電話からProject Loonを介してWi-Fiサービスにアクセスできるようになるということだ。
Googleはこの1年間に風に関する膨大なデータを収集しており、その目的にはProject Loonの飛行軌道がより効果的に予測できるように予測モデルを改良することがあった。さらに同社は、気球の空気ポンプを改良し、気球が高度を迅速に変えてより早い気流に乗ることや向かい風を避けることを可能にすることで、さらなる効率化を目指している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したもので す。
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