常日頃、苦手意識を持っている者にとっては、その言葉を聞いただけで顔色が曇ってしまう「経理」。法人化しているけれど社員はおらず、社長ひとりきりの会社や、個人事業主の場合は、得意な分野の仕事だけをしているだけでは済まず、最低でも毎年1回の確定申告時には、経理と向き合う必要がある。そんな1人でがんばる社長のために、日々の経理の実務と勘所を、懇切丁寧に教えてくれるのが本書だ。
ひとり社長にとって、高機能な会計ソフトはあれど、それは強力な味方というわけではない。なぜなら入力するのは結局のところ「自分」だからだ。そして経理についてよく分からないときに、聞ける人が身近にいない場合、経理はもっとつらい作業になる。税理士に頼むのもいいが、必要以上の経費がかかることになる場合もある。そのような「よく分からない」状態にぴったりなのが本書だ。本書は、経理のどこに気を付けるべきか、何が一番大事なことなのか、税理士がそばについて、アドバイスしてくれるような感覚で読めるのがポイントだ。税理士の著者が、自らの経験を基にして書いているのだから説得力があるのも当然だ。
経理が分からなくて、確定申告前に何冊か買って読んでみたが、結局なんだかはっきりしないまま毎年の申告を乗り切っている、というような人なら本書を読むべきだ。「摘要の書き方」「経費になるものの見分け方」「勘定科目の決め方」などの基本が、とても身近で分かりやすい例で書かれているので、「そういうことか!」と膝を打つだろう。
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