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新たなコンテンツ創出の場を目指して--東映アニメがスマホゲームに乗り出す理由

佐藤和也 (編集部)2014年06月06日 09時30分
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 東映アニメーション(東映アニメ)は、6月に公開予定のスマートフォン向けゲーム「円環のパンデミカ」の事前登録を受け付けている。そしてこのタイトルを機にスマホゲーム市場に本格参入する考えだ。

 本作は、謎の新種ウイルスで凶暴化した感染者(リーパー)たちによって世界の大半を奪われてしまった現代を舞台に、増え続ける感染者たちから身を守りながら生き残り、絶望の連鎖を断ち切る希望を探し求めるクエスト探索型ロールプレイングゲームだ。

  • 円環のパンデミカ

    (C)東映アニメーション

 東映アニメといえば、1948年の日本動画株式会社から始まる老舗のアニメ制作会社。 「魔法使いサリー」「マジンガーZ」「ドラゴンボール」「美少女戦士セーラームーン」「ワンピース」「スラムダンク」「プリキュア」シリーズなど、説明するまでもないほどの人気作を制作している。

 一方で今回の円環のパンデミカは、世界観からキャラクターまで全て新規で作られたオリジナル作品。既存コンテンツの知名度に頼ったものではなく、スマホゲームから開始するコンテンツプロジェクトとなっている。

 なぜアニメ会社が自らオリジナルタイトルでスマホゲームに乗り出すのか。本作のプロデューサーを務める、ネット・モバイル事業室 新規事業企画チームの松浦寿志氏に聞いた。

--なぜオリジナルタイトルでのスマホゲームを制作することになったのでしょうか。

 東映アニメはアニメの会社としてここまでやってきましたし、これからも主となる事業がアニメであることに変わりはないでしょう。映像作品がそのまま収入につながるのは、一般的にパッケージ販売と映像配信という形になりますけども、そこだけでは回収しきれない作品が出てきているのが現実としてあります。

 また、アニメの放映期間は基本的に1~4クール(約13~50話)、つまり3カ月~1年ですが、作品の認知を上げたり商品展開する点においてもサイクルとして短い。本当は1年以上続けられるのがいいと思うのです。たとえば、今でこそプリキュアシリーズは10年続いていますが、ちゃんと人気が出たと認識できる状態になったのは2年目からだと思います。当時、格闘する女の子というのは不思議に映っていたのですが、敵とちゃんと会話のやりとりをして気持ちを通じ合わせていく。そこが少しずつ理解されはじめて人気につながったのではと思います。

 ですが、1年以上放送し続けるには人材もコストも膨大なものになってしまいます。

--よくテレビアニメの制作費は1話(30分)で1000万円以上、1クールで1億数千万円と言われています。1年だと1クールの4倍ですよね。

 もちろん作品によって異なりますが、おおむね間違ってはいないところだと思います。その分、弊社ではライセンス事業にも力を入れて活発に動いています。そこで補強をして、何十年も事業を続けられているのだと思います。

 ライセンス事業は、アニメという手法によって魅力を伝えていくこととは別の方法で、作品やキャラクターの魅力を伝えていくキャラクタービジネスの世界です。そこを切り分けて考えると、アニメでの効果を最大化するために、先にキャラクタービジネスを展開してアニメにもっていくのもありなのではないかと。アニメとは別のところからキャラクターを育てて、アニメ化につなげる流れを考えていくのが、今回の新規事業にある根底の考え方なのかなと思います。

--そのキャラクタービジネスの場に、スマホゲームを選んだ理由はなんでしょうか。

 まず、アニメよりももう少し敷居が下がったところから、キャラクターのファンになってもらえるための土壌、ある意味プラットフォームとして長く運営できる場所はないものかと考えていたのです。スマホゲームにしたのは、市場としても堅調に伸びていくことが予想されたことと、長期運営型のオンラインゲームのような場として展開できることです。

 私自身、小さい頃からゲームが好きで、一時期はPCオンラインゲームに傾倒していました。まだ「ウルティマオンライン」で日本語対応されていなかった、テレホーダイ以外の常時接続による通話料定額サービスがなかったころです。辞書を片手に海外のプレイヤーとつたないチャットで会話したり、日本人プレイヤーが少なかったので、対抗しうるために一致団結したり……。与えられた世界観が自由で、そこで自分で遊び方を考えて楽しむことに面白さやエンタメ性を感じていましたし、そういったゲームが長く続けられるものとして感じていました。こうした経験と私のゲーム好きが講じてゲーム制作を提案したところもあります。

--企画はいつごろから動き始めたのでしょうか。

 だいたい2年前から企画として検討していましたが、ちゃんと動き出すまでにはそこから1年以上かかりました。当時は「なんでアニメ会社なのにゲームをやるの?」という意見が強くありました。これは当然の反応ですし、まずビジネスとして乗り出す意義があることを理解してもらうまでに時間がかかりました。

 また、当時はまだフィーチャーフォンのカードバトル型のソーシャルゲームが全盛でした。確かにそこに乗り出せばコストはさらに低く制作でき、利益が得られたかもしれません。実際に聖闘士星矢やスラムダンクのソーシャルゲームはリリースされています。でも今回のそもそもの目的は、新しいキャラクターを生み出して育てる場所を作ることです。だから、既存の作品で人を集めるのとは違いますし、当時のソーシャルゲームのサイクルは早かった。コンプガチャなどのマネタイズ手法から、ソーシャルゲームに対するイメージの悪さもあって乗り出しにくい状況でもありました。

--モバイルゲームもフィーチャーフォンからスマートフォンにシフトして、コンテンツやゲーム性がリッチ化、さらに継続的な運営が求められているかと思います。

 コスト面は確かに上がりますが、それでもアニメ制作に比べれば敷居は低いです。今はゲーム性ももちろんですが、キャラクターや世界観を重視して作られているものが多いので、キャラクターのためにいい環境になってきたかと思います。時流がそうなって、少しずつアニメ会社がゲーム市場に乗り出す理由も理解してもらえるようになって、企画が実った形ですね。

--オリジナルコンテンツでゲームとの取り組みのなかでは、位置ゲームのコロプラと協業したアイドルものの「スタプラ!」があったかと思います。

 スタプラ!も新規事業チームの取り組みのひとつです。ほかにも、かつてのロボット作品を擬人美少女化したアニメ「ロボットガールズZ」もそうです。パンデミカも含めて平行して動いていたところがあります。ただこの2つはコラボレーションが重視されていたところがあります。スタプラ!ではアイドルを描いてますから、楽曲CDの販売や、イベントなどで声優に歌を歌ってもらうことを主眼にしてますし、ロボットガールズZはロボットアニメの萌え化としてユーザー層にリーチしていますから。パンデミカは完全にオリジナルという意味では、少し毛色が違うのかなと思います。

--ゲームについてですが、世界観を感染者(パンデミック)ものにした理由を教えてください。

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