インドネシアで勝負する不動産サイト「HOME'S」 --現地ならではの悩みも - (page 2)

インドネシアならではの苦労とその克服

 同社では、インドネシアに進出する日系企業や個人に、対面でオフィスと家を紹介し、そのメンテナンスを補助するコンサルティング事業もしている。加藤氏いわく、同国の賃貸物件は“壊れやすい”という。例えば、水漏れや家具の破損、お風呂の水が流れないといったことは、現地では日常茶飯事だが経験の少ない日本人にとっては一大事だ。さらに、業者に修理を依頼しても予定通りの日時に家に来ないなどオペレーションの問題もあり、同社ではそれらを日本のクオリティで請け負う事業を行っている。顧客からは週に10件程度の問い合わせがあるそうだ。

 インドネシアという国の事業環境についても聞いた。まず、同国に島が多く点在することについては、RumahRumahにとってチャンスと見ている。国土が広く知らない土地が多いからだ。しかし、基本的に飛行機で移動するため営業コストが高くつくという側面も。そのため他の島を訪れる際は、まとめてアポイントを取るようにしているそうだ。

  • PT. Rumah Mediaで働く従業員

 また、JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)が公開しているセミナーの動画で「インドネシア人には貯金をしない国民性がある」という言及があるのだが、「それは実際にある」(加藤氏)という。同氏の経験談として、現地で暮らす人にとっては非常に高価であろうPlayStation 4など最新のガジェットを日本で買ってくるよう頼まれたこともあり、「給料が手元に残っていないのではないか」と心配してしまうような使い方も稀にするそうだ。そうした世界の流行に関する情報は「Kaskus」という現地の掲示板サイトなどで交換されている。

 不動産の購入には審査が必要なためポンと気軽に買えるものでないが、富裕層が一部投資を目的に購入することもあるという。日本には標準的な家庭でも不動産を購入するサラリーマンオーナーと呼ばれるような人もいるが、インドネシアでは政治家や銀行の上級職など一部の特権階級、もしくは国全体の人口の10%で国の全財産の90%を保有するといわれる華僑の人たちが多くの物件を抱えているそうだ。

 インフラについては、加藤氏も事業運営を通じて全般的に不足を感じるという。特に移動手段。電車の駅が少なすぎるため主な移動手段はクルマだが、渋滞がひどく、1件のアポでも往来含め3~4時間かかることもある。しかしどうしようもなく、そういうものだと割り切るしかないそうだ。

  • ジャカルタの交通渋滞

 現地の方の時間に対する感覚にも苦労することがあるという。インドネシアには「ゴム時間」という言葉があるほど、急いで仕事をやらなければいけないという意志が弱く、いろいろな場面で時間が伸びてスタックしてしまうそうだ。また、同国では営業職の給与体系はコミッションフィが主流で、そうやって目標達成に対するモチベーションを管理するという。

 こうした苦労はあるものの、加藤氏は「サービス業ならば、あくまでも日本並みに質の高いサービスを目指すべきだ」と考え、社内に限らず、仕事をともに行うパートナー企業にも細心の注意を払いながら仕事をしている。また、インドネシアにおいては「私も外国人」(同氏)。その国の文化は分からないので、現地での採用と、採用した優秀な従業員の意見に耳を傾けることを心がけているという。

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