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「ゲームには投資しない」--グリーベンチャーズの意気込み

藤井涼 (編集部)2014年05月29日 10時30分
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 「親会社の主力事業であるゲームとのシナジーはこれからも考えていない」――こう言い切るのは、グリーの子会社で投資事業を手がけるグリーベンチャーズ代表取締役社長の天野雄介氏だ。

 2011年12月に20億円規模の投資ファンド「GV-I投資事業組合」を設立したグリーベンチャーズ。以来、国内や東南アジアでネット事業を展開する未上場のベンチャー企業に対して投資を続けてきた。同社によれば、約2年半で800社以上にコンタクトし、13社に投資してきたという。

  • グリーベンチャーズ代表取締役社長の天野雄介氏(左)と同社パートナーの堤達生氏(右)

 投資先としては、国内ではEC・オークションの相場検索サイトを運営するオークファンや、実名制のグルメSNSを運営するRettyなど。また、海外ではインドネシアで不動産情報サイトを運営するPT Teknologi Kreasi Anak Bangsaや、シンガポールで東南アジア向けの化粧品・美容品ECサイトを運営するLuxola Pteなどだ。投資先数の比率でいうと日本が6割、海外が4割ほどだという。

 こうしてみると、親会社のグリーの主要ビジネスであるゲームやコンテンツ事業とは直接関わりのない企業が中心であることが分かる。この点について天野氏は「グリーと関連性のあるところだけでは投資自体が難しくなる」と説明する。

 「パズル&ドラゴンズ」や「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」など2500万ダウンロードを超える人気タイトルも生まれる中、グリーはなかなかヒット作に恵まれず減収が続いている。コーポレート系ベンチャーキャピタルでありながら、あえて親会社とのシナジーを求めない“金融投資家”の立場を貫くことで、グループ全体での成長に貢献する位置づけのようだ。

アジアナンバーワンのベンチャーキャピタルへ

 投資にいたる基準は国内と海外で異なる。国内では、主に“ネットで世の中の問題を解決する”ことをミッションにする企業やサービスに投資しているという。一方で、東南アジアを中心とする海外は、すでに日本や米国で証明されたビジネスモデルを踏襲しており、特に今後の成長が見込まれるECサイトへの投資を強めている。同社のパートナーである堤達生氏は「おかげさまでどの会社も好調に推移している」と手応えを感じている。

 2年半かけて13社に投資してきたグリーベンチャーズ。この流れを加速させるため、2014年5月に新たに組成したのが、50億円規模の新ファンド「AT-I投資事業有限責任組合」(AT-I)だ。第1のファンドであるGV-I投資事業組合はグリーの自己資金だったため、AT-Iは「グリーとして初めて外部からも出資を募ったファンド」(天野氏)となる。

 主な出資者は、グリー、独立行政法人中小企業基盤整備機構のほか、クレディセゾン、エイチーム、みずほキャピタルなど。夏には上場企業を中心に2次募集を実施する予定で、「最終的には70億円規模まで拡大させたい」と天野氏は語る。新ファンドでは、これまでと同様に、日本や東南アジア地域のコンシューマーインターネット、モバイルサービス、マーケティングテクノロジ、クラウドアプリなどの分野のベンチャー企業を中心に投資していくという。

  • 「wizpra」

 投資ステージは、起業したばかりの“シリーズA”ラウンドが中心。原則リード投資家として1社あたり約1~3億円を投資し、20社程度の投資を見込んでいる。なお同社は新ファンド設立後に、従業員のコミュニケーションを見える化する「wizpra(ウィズプラ)」を運営するwizpraと、東南アジアでリワードプラットフォームを提供するYOYO Holdingsへ出資している。

 天野氏は「2~3年ごとにファンドを組成し、それにともない規模も大きくしたい。次回以降は海外の投資家も含めて、100億円近いファンドを立ち上げ、最終的にはアジアナンバーワンのベンチャーキャピタルに育て上げたい」と意気込んだ。

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