無線LANビジネス推進連絡会は5月27日、大規模災害時に公衆無線LANを提供する各事業者が、世界初となる統一のSSID「00000JAPAN」を設けて無料開放することを発表した。
無線LANビジネス推進連絡会は、キャリアや通信機器ベンダーなど無線LANに関連する93の企業・団体が参加し、無線LANが抱える課題に対応して、健全な普及を進めるため2013年1月に発足したもの。その会長を務める小林忠男氏は、「東京五輪の開催が決定したことで、Wi-Fiへの期待が高まっている」と話す。
そうした状況を受け、同連絡会では、無線LANの普及や運用、新技術の導入などを検討する4つの委員会に加え、東京五輪に関する小委員会を設けて無線LANの利活用に関する検討を進めているという。中でも2014年は公衆無線LANの利活用をテーマに話し合いを進めているとのことだ。
同連絡会の運用構築委員会委員長である大内良久氏は、現在の日本における公衆無線LANスポットの現状について説明。NTT東西や携帯電話主要3キャリアのスポット数は2014年3月時点で90万に達しており、独自で展開しているものを含めると100万の規模になるとのこと。またサービス利用者数も2013年末に1700万を突破しており、スマートフォンユーザーの4人に1人は利用している計算になるそうだ。一方で大内氏は、諸外国に比べるとスポットの利活用が進んでいないとも指摘。そこで「無線LANビジネス推進連絡会では、災害時と平常時、双方の利活用を進めることを約束する」としている。
平常時の利用に関しては、東京五輪に向けて無料の公衆無線LANの環境整備を進めることが伝えられた。観光庁が実施した訪日外国人の利用者アンケートにおいて、2011年11月時点では無料の公衆無線LANに関する不満が大きかったとのこと。そうしたことから同連絡会では、民間のビジネスモデルをベースとして、外国人向けの無料公衆無線LANスポットの整備を進めており、現在は満足度が以前より上がっていると話す。
日本ではセキュリティの高さが求められるため、無料で公衆無線LANスポットを利用するには、メールアドレスの登録が必要などユーザーに手間がかかる部分が少なからずある。海外ではそうした手間が不要なものも多いが、一方でセキュリティに問題のあるスポットも少なからず存在する。そうしたことから「利便性」と「セキュリティ」、双方のバランスをとりながら、官民が連携して無料のスポットを広げる取り組みを進めたいと、大内氏は話した。
また災害時の利用に関しては、2011年の東日本大震災発生時に、各社が公衆無線LANの認証をオープンにして開放し、評価を受けたことが思い起こされる。しかし、そうした取り組みの中から、そもそもどの程度の災害発生時にスポットを解放するべきなのか、また開放したスポットをどうやって利用してもらうかなど、いくつかの課題が浮かび上がったそうだ。
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