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割れにくい、曲がる…--「Gorilla Glass」のコーニングに見るガラスの進化

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 スマートフォンに使われる「Gorilla Glass」を製造しているのがCorningだ。同社が開発するガラス製品は、スマートフォン以外にも採用されている。同社の日本法人であるコーニングジャパンは5月19日、Gorilla Glassをはじめとする液晶ディスプレイ用ガラス基板製品の特徴などについて、報道関係者を対象に説明会を開いた。

曲がるガラス

 1984年から液晶ディスプレイ用ガラス基板の商業生産を開始している同社は現在、液晶ディスプレイ用ガラス基板の主な製品として、2006年に投入した、ヒ素やアンチモン、バリウムなどの重金属やハロゲン化合物を含まない「EAGLE XG」、低ポリシリコンや酸化物TFTを用いた液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ向けの高精細化を実現できるというガラス基板「Lotus」、そして0.1mmという薄さのガラス基板でフレキシブルなディスプレイを実現する「Willow」をラインアップしている。

進藤克彦氏
コーニングジャパン LCGグループ製品技術部部長 進藤克彦氏

 コーニングジャパン LCGグループ製品技術部部長の進藤克彦氏は「当社のガラス事業は、PYREX耐熱ガラスなどの容器として利用する構造材としてのガラス、液晶ディスプレイ用ガラス基板のようにガラスに機能を付加するもの、望遠鏡をはじめとしてガラスそのものに機能を持たせたもの、という3つの分野で展開している」と説明。「液晶ディスプレイ用ガラス基板の生産には“フュージョン式”と呼ばれる仕組みを採用している。これが品質の高いガラス基板を実現する最大の強みになっている」と語る。

 フュージョン式とは、樋のような形状をした部分に上から1500~1600度で溶かしたガラス原料を流し込み、それをあふれ出させて、シートガラスを生成する方法だ。こぼれ落ちたガラス原料は、空気界面で生成するため、ナノメートルレベルの平滑性のある薄いガラスを生産できるという。

 「ガラス面は空気に接触するだけ。物理的な接触がないために擦り傷がつかず、平坦なものができあがる。従来の生産方式では研磨という工程があったが、フュージョン式では、その工程がなくなるのも特徴のひとつ」(進藤氏)

 フュージョン式での生産に加えて、新たな組成開発技術やガラス特性のコントロールノウハウも同社製品の品質を高める要素になっているという。

説明 左がGorilla Glass。傷はついているが割れない
※クリックすると拡大画像が見られます

 Gorilla Glassは、スマートフォンの市場成長とともに注目を集めてきた製品だ。もともと携帯電話は、プラスチックのガラスカバーを採用していたが、スマートフォンの登場以来、大きな画面でも傷がつきにくいこと、割れない強度を持つこと、タッチした際に感度がいいものが求められ、そうした需要にあわせて開発されたのがGorilla Glassとなる。

 「ガラスは傷がついていないと強いが、少しでも傷があると割れやすくなる。引っ張り応力も割れる原因になる。しかし、どちらかの要素がなくなると割れない。そこで、引っ張り応力をなくすことにフォーカスして開発したのがGorilla Glass。傷がついても割れにくい強いガラスが完成した。“Gorilla Glass 2”でも、この仕組みを採用し、さらに20%の薄型化を実現した。2012年に発表した“Gorilla Glass 3”では、NDRという新たな技術を採用し、傷がつきにくいものへと進化させ、さらに割れにくいガラスを実現できた」

 Gorilla Glass 3では、従来製品に比べて、傷のつきにくさで3倍強化され、ガラス強度は40%強化されたという。同じように傷がついても、画面が見やすいという特徴も実現した。

 同社は反射防止や抗菌機能を持たせたGorilla Glassも製品化した。「抗菌機能は、ガラス面にコーティングするのでなく、銀イオンをガラスそのものに埋め込むことで半永久に抗菌機能を持たせられるのが特徴。ガラスそのものに機能を持たせることへの取り組みのひとつ」とする。

 自動車のインパネ向けやスマートフォン向け、大型液晶テレビ向けに曲面化した3次元型のカバーガラスも製品化している。「カバーガラス市場は、依然として勢いが伸びている。70型以上のタッチパネルに対応したGorilla Glassの製品化にも取り組んでいる。これはもう少し時間がかかるが、最大で100型のタッチパネルにも対応していきたい」

 競合他社が同様のカバーガラスに取り組んでいることについては、「競合他社がこの分野に参入してきたのは2011年であり、当社に比べて4年間遅れている。カバーガラスという市場を開拓してきたのは当社であり、機能でも一歩先んじている。顧客とともに、加工周辺技術を持っていることも差異化のポイントになる」(進藤氏)

川西直之氏
コーニングジャパン コーニングディスプレイテクノロジー アジアコマーシャルテクノロジー・ジャパン マネージャー 川西直之氏

量産方式も新たに開発

 もうひとつの同社の特徴的な製品が、Willowである。“柳”という言葉からもわかるように、柳がしなるようにフレキシブル性を持たせているのが特徴だ。

 「10年後には、プラスチック基板の時代が訪れ、よりフレキシブルな基板ができるだろう。だが、現時点ではトランジスタの形成には、300~700度の温度が必要であり、基板にはガラスを使わざるをえない。Willowは0.1mmという超薄膜のガラス基板であり、それによってフレキシブル性を実現した」(コーニングジャパン コーニングディスプレイテクノロジー アジアコマーシャルテクノロジー・ジャパン マネージャー 川西直之氏)という。これにより、柱に巻き付けるといったフレキシブルディスプレイも実現できるという。

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